デンマーク工科大学食品研究所(DTU Food)からのカンピロバクター関連情報
http://www.food.dtu.dk/english


カンピロバクターはデンマークにおける食品由来感染症の主な原因である
Campylobacter to blame for most foodborne infections in Denmark
29 JUN 17
http://www.food.dtu.dk/english/news/2017/06/campylobacter-to-blame-for-most-foodborne-infections-in-denmark?id=aa756ea0-0d0c-4007-aad0-3d62daa1beec
デンマークの人獣共通感染症に関する2016年次報告書
Annual Report on Zoonoses in Denmark 2016
http://www.mek.dtu.dk/english/-/media/Institutter/Foedevareinstituttet/Publikationer/Pub-2017/Annual-Report-2016-FINAL.ashx (年次報告書PDF)

(食品安全情報2017年19号(2017/09/13)収載)


 デンマークでカンピロバクターは年間4,600件を超える食品由来感染事例の原因となっており、依然として食品由来疾患の原因病原体として最も高頻度に認められる。これは、動物や食品からヒトに伝播し得る疾患の罹患数に関する2016年次報告書において明らかになった結論の一つである。この報告書は、デンマーク工科大学国立食品研究所(NFI DTU)が、国の公衆衛生研究機関であるデンマーク国立血清学研究所(SSI)およびデンマーク獣医食品局(DVFA)の協力のもとに作成した。研究者、政府機関および業界は、デンマーク国民のカンピロバクター感染の低減につながる取り組みを検討している。

 喫食した食品が原因で病気になるデンマーク国民が毎年後を絶たない。2016年はカンピロバクターにより4,677人を超える届出患者が発生しており、カンピロバクターは依然としてデンマークの食品由来感染症の主要な原因病原体となっている。2016年の患者数は2015年と比べて7%以上の増加となった。しかしこの増加は、より感度の高い診断方法が使われるようになったことによる可能性がある。
 デンマークでは2016年に、カンピロバクター感染患者数はサルモネラ感染患者数の約4倍のレベルであった。


カンピロバクター症患者数減少のために協力

 デンマークの研究者、政府機関および業界は以前より、連携してデータを収集し、デンマーク国民のカンピロバクター感染リスクを低減させる方法の開発を進めている。

 NFI DTUの主任研究員によると、デンマーク産のブロイラーおよび鶏卵からサルモネラをほぼ根絶した経験を踏まえ、研究者、政府機関および業界は、カンピロバクター症患者を確実に減少させる方法を見出すために協力している。


迷惑な旅行土産であるサルモネラ

 デンマーク国民のサルモネラ感染患者として、2016年は計1,074人が報告された。2015年までと同様、これらの感染に関連した主な原因は国外旅行であった。患者の半数以上(55%)が国外旅行関連で、主要な感染国はタイ(19%)、トルコ(13%)およびスペイン(5%)であった。

 年次報告書のサルモネラ感染源に関するデータから、デンマークにおいてどの感染源がサルモネラ感染の原因となったかを推定することができる。1,074件の感染事例では、原因食品として推定されたデンマーク産豚肉が主要な感染源となっていた。全事例の6%でデンマーク産豚肉が感染源と推定され、次いで輸入鶏肉および輸入豚肉(それぞれ4%および3.7%)であった。


疾患アウトブレイクに国境はない

 デンマークの小児9人が発症したサラミスティックによるサルモネラアウトブレイクは、スウェーデン当局からデンマーク当局に通報があり、2016年に解決した。同年、デンマークは、ポーランド産鶏卵によるサルモネラアウトブレイク、およびペットのヘビにより数人がサルモネラに感染した小規模で稀なアウトブレイクの国際的な調査の一端を担った。

 SSIの疫学専門家は、欧州には、疾患アウトブレイクの探知や特定の食品による患者発生の疑いに関する情報を各国が共有できる警報システムが存在すると説明している。

 同専門家はまた、食品由来疾患アウトブレイクに国境はなく、食品は製造後、多くの国に一斉に出荷されるため、感染源を特定しアウトブレイクを早急に収束させるためには国際的な協力が重要であるとも述べている。



国立医薬品食品衛生研究所 安全情報部