米国疾病予防管理センター(US CDC)からのカンピロバクター関連情報
http://www.cdc.gov/


ペット店の子犬との接触に関連して複数州にわたり発生している多剤耐性カンピロバクター感染アウトブレイク(2017年10月30日付更新情報)
Multistate Outbreak of Multidrug-Resistant Campylobacter Infections Linked to Contact with Pet Store Puppies
October 30, 2017
https://www.cdc.gov/campylobacter/outbreaks/puppies-9-17/index.html

(食品安全情報2017年24号(2017/11/22)収載)


○米国疾病予防管理センター(US CDC)、複数州の公衆衛生当局および米国農務省動植物衛生検査局(USDA APHIS)は、複数州にわたり発生している多剤耐性カンピロバクター感染アウトブレイクを調査している。

○本アウトブレイクの患者の臨床検体から分離されたカンピロバクター株は、広く推奨される第一選択の抗生物質に耐性であることが判明した。これは、本アウトブレイク株による感染症が、カンピロバクター症の治療に通常処方される抗生物質では治療が困難である可能性があることを意味する。

○2017年10月3日付の更新情報以降、8州から新たに患者計12人が報告された。直近の患者の発症日は2017年10月14日である。

○2017年10月23日までに、本アウトブレイクに関連して、検査機関確定患者またはカンピロバクター症に一致する症状を呈した患者が15州から計67人報告されている(図)。情報が得られた患者62人のうち17人(27%)が入院した。死亡者は報告されていない。患者の発症日は2016年9月15日〜2017年10月14日である。


図:ペット店の子犬に関連したカンピロバクター症患者(2017年10月23日までに報告された居住州別患者数、n=67)


○疫学調査および検査機関での検査結果は、ペット店の子犬との接触と本アウトブレイクとの関連を示している。本アウトブレイクの患者67人のうち62人(93%)には、ペット店チェーンであるペットランド(Petland)の店舗に関連する子犬との間に以下のような疫学的関連が認められる。

  • 患者のうち18人はペットランドの従業員である。
  • 患者のうち44人は、発症前に、ペットランドで子犬を購入、ペットランド店舗を訪問、もしくはペットランドで購入した子犬のいる家庭を訪問またはそのような家庭で生活した。

 残りの5人の患者のうち、4人はペットランド以外に由来する子犬との接触を報告し、1人は検査機関で感染が確認されたが子犬への曝露は報告しなかった。

○全ゲノムシークエンシング(WGS)解析の結果は、患者由来と子犬由来のカンピロバクター分離株が遺伝学的に相互に近縁であることを示した。この結果は、本アウトブレイクの患者の感染源がペットランドの子犬との接触であることを裏付けるさらなるエビデンスとなっている。

○抗生物質耐性は、患者の入院、血流感染または治療不成功のリスクの上昇に関連する可能性がある。WGS解析により、患者13人および子犬8匹に由来するアウトブレイク関連株に、複数の抗菌剤耐性遺伝子および耐性に関連した遺伝子変異が確認された。この結果は、本アウトブレイク関連の患者4人と子犬6匹に由来する臨床分離株計10株について、CDCの全米抗菌剤耐性モニタリングシステム(NARMS)の検査機関が標準的な抗生物質耐性試験法により実施した検査の結果と一致している。これらの10株は、アジスロマイシン、シプロフロキサシン、クリンダマイシン、エリスロマイシン、ナリジクス酸、テリスロマイシンおよびテトラサイクリンに耐性であった。また、これら10株のうち、8株はゲンタマイシン、2株はフロルフェニコールにも耐性であった。

○子犬や成犬を扱う際には以下のような感染予防方法を守るべきである。

  • 子犬やその糞に接触した後は、すぐに必ず石鹸と水で手指を洗う。
  • 飼い犬の健康維持と疾患予防について獣医師に相談する。


(食品安全情報(微生物)No.21 / 2017 (2017.10.11) US CDC記事参照)



国立医薬品食品衛生研究所 安全情報部