ドイツ連邦リスクアセスメント研究所(BfR)からのカンピロバクター関連情報
http://www.bfr.bund.de/


キッチンの病原菌:カンピロバクターよりサルモネラの方がよく知られている(健康リスクの認識に関する第5回BfR消費者調査の結果)
Germs in the kitchen: Salmonella better known than Campylobacter
04.10.2017
http://www.bfr.bund.de/en/press_information/2017/39/germs_in_the_kitchen__salmonella_better_known_than_campylobacter-201976.html

(食品安全情報2017年22号(2017/10/25)収載)


 消費者はどのような健康リスクを認識しており、何に関心を持っているか。ドイツ連邦リスクアセスメント研究所(BfR)が定期的に実施するドイツの代表的な住民調査である「BfR消費者調査(Consumer Monitor)」により、その答えが明らかになる。この調査は、消費者健康保護についてのドイツ国民の認識を反映する一方、一般国民における誤った推定を早い段階で知るための必須の指標となっている。今回の調査では前回までと同様、消費者はリスク評価の観点から健康に重要であると分類される「家庭での食品衛生」などのリスクを過小評価しがちであることが示された。今回の調査の新たなテーマの1つは、消費者が食品分野の数種類の病原体を知っているかどうかの問題である。ドイツにおいては現在、腸管感染症の病原菌としてカンピロバクターが最も一般的であるが、今回の調査で、サルモネラは大多数の人に知られているのに対し、カンピロバクターは少数の人にしか知られていないことが分かった。ドイツでは依然として、喫煙、気候・環境汚染、有害なまたは誤ったダイエット、および飲酒が最大の健康リスクとして捉えられている一方で、ドイツの食品は安全であるという消費者の意見はほとんど変わっていない。

 BfRの消費者調査は、消費者の健康を保護する重要なツールの1つである。代表的な消費者調査として本調査は、ドイツ人がどの程度健康リスクを認識しているかについて半年ごとに分析を行っている。このため、ドイツの一般家庭で生活する14歳以上の約1,000人を対象に、電話による聞き取り調査を実施している。

 各回の調査結果が相互に比較可能になるように、各回の聞き取り調査は同様の構成を有している。本調査では、多くの一般消費者が関心を持つテーマに重点が置かれる一方で、それほど高い関心は持たれていなくても重要性が高い問題について分析が行われる。後者の例としては、遺伝物質を特異的に改変する「ゲノム編集」という新技術の問題が挙げられる。消費者の健康保護に係る連邦政府の体制への信頼度についても、リスク認識に影響する可能性があるため調査されている。

 一般国民による健康リスクの認識と科学的な推定との間にギャップがあるか、あるとすればどの程度かという問題は、誤った推定や誤解についてBfRが言論手段により反論できることから、BfRの活動にとって特に関心が高い問題である。

 前回までの調査だけでなく今回の調査でも、一般消費者は、茶葉やハチミツ中のピロリジジンアルカロイドの存在などの健康保護に関する重要な話題について概して認識がないか、それらを一般家庭における食品衛生の問題などと同様、関心がないものとして誤って分類していることが明らかである。今回の調査では、食品関連の数種類の病原体の認識に関する質問が新しく設けられた。その結果、回答者の95%がサルモネラを知っていたが、カンピロバクター症として知られる食品由来疾患の原因となり得るカンピロバクターを知っていた回答者は22%のみであった。ドイツでは現在、腸管感染症の病原菌としてカンピロバクターが最も一般的なものとなっている。

 食器からのアルミニウム溶出に関する問題については、回答者の3分の2が現時点で認識しており、関心を持っている回答者は3分の1をわずかに上回った。おもちゃ、繊維製品および化粧品からのアルミニウム溶出については、安全であると判断した消費者の割合が過去の調査より高かった。

 前回の調査結果と比較すると、いくつかの項目においては消費者の評価はほとんど変化していなかった。回答者の大多数は依然として、ドイツの食品は安全であるとみなしている。最も健康リスクが高い問題に関する質問に対し、大多数の回答者は引き続き、喫煙、気候・環境汚染、有害なまたは誤ったダイエットをはじめ、飲酒、有害なまたは汚染された食品の問題を挙げた。特定の問題について具体的に尋ねる質問に対しては、認識している問題として、サルモネラ、遺伝子組換え食品、抗微生物剤耐性および植物保護製品の残留が上位を占めた。これらは、回答者の過半数が関心を持っている問題でもあった。



国立医薬品食品衛生研究所 安全情報部