デンマーク国立血清学研究所(SSI)からのカンピロバクター関連情報
http://www.ssi.dk


カンピロバクター感染のリスク因子に関するデンマークの大規模な症例対照研究
Major Danish case-control study on risk factors for infection with Campylobacter
EPI-NEWS No.4 - 2016
27 January 2016
http://www.ssi.dk/English/News/EPI-NEWS/2016/No%204%20-%202016.aspx

(食品安全情報2016年5号(2016/03/02)収載)


 カンピロバクターは、デンマークなどの西側諸国における細菌性胃腸疾患の主要原因である。デンマークでは毎年約4,000人の患者が報告されており、患者は主に小児および30歳未満の若年者である。感染者数の多さにもかかわらず、感染経路に関するいくつかの基本的条件はまだ十分な解明がなされていない。

 カンピロバクター感染のリスク因子を明らかにするため、2016年1月1日にデンマーク国立血清学研究所(SSI)およびデンマーク畜産食品局(DVFA)は、2件の互いに関連のある大規模調査を開始した。1件はカンピロバクター感染患者への聞き取り調査で、他の1件は確定患者由来分離株の分子タイピングである。

 症例対照研究は患者約1,000人および1〜30歳の健康なデンマーク人5,000人を対象に行われる予定である。対照群は市民登録番号(CPR:Civil Registration number)から無作為抽出され、症例群は胃腸細菌感染の届出システムを介して特定される。

 質問票へのリンクが記載された手紙が調査参加候補者全員に送付され、参加に同意した人はオンラインで回答することになっている。また、デンマーク国内で感染した患者(質問票への回答者を含む)由来の分離株のうち、少なくとも1,200株を対象に全ゲノムシークエンシング(WGS)解析による微生物学的調査が開始される予定である。これらの分離株のタイピング結果は、食品、家畜および環境由来の分離株のタイピング結果と比較される。後者の分離株については、DVFAが収集および塩基配列決定を行う。

 この症例対照研究では、自然界および環境中の感染源との接触をはじめとする感染リスク因子の特定に重点が置かれている。自然界および環境中の感染源は、食品との比較において以前より大幅に重要性が増していると考えられる。カンピロバクター分離株の塩基配列決定により、特定の行動によって一部の型のカンピロバクターの感染リスクが上昇するかどうかが明らかになる。

 本研究の結果は、カンピロバクターの伝播の理解と対処、アウトブレイクの検出、および疾患予防の強化に役立つと考えられる。


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http://www.ssi.dk/English/News/News/2016/2016%20-%2001%20-%20EPI-NEWS%204%20case-control%20studies.aspx



国立医薬品食品衛生研究所 安全情報部