英国食品基準庁(UK FSA)からのカンピロバクター関連情報
http://www.food.gov.uk/


英国食品基準庁(UK FSA)の主任科学顧問が抗微生物剤耐性の問題を概説
FSA Chief Scientific Adviser outlines the challenges of Antimicrobial Resistance
21 September 2016
http://www.food.gov.uk/sites/default/files/csa-amr-report.pdf (報告書PDF)
https://admin.food.gov.uk/news-updates/news/2016/15523/challenges-of-antimicrobial-resistance

(食品安全情報2016年22号(2016/10/26)収載)


 英国食品基準庁(UK FSA)の主任科学顧問Guy Poppy教授は、科学報告書の最新版を発表し、抗微生物剤耐性(AMR)の背景にある科学、および食品とAMR問題との関連について最新の知見を説明した。


市販鶏肉由来のカンピロバクターについて

 市販丸鶏のカンピロバクター汚染についてのFSAの調査に関し、その初年度(2014年)に収集されたデータのサブセットが発表された。これには抗微生物剤耐性のカンピロバクターに陽性の検体数が示されている。報告書全文およびデータチャートが
https://admin.food.gov.uk/sites/default/files/campylobacter-amr-report.pdf
から入手可能である。

 この調査では、英国の小売チェーン店舗、小規模個人商店および食肉店から丸鶏検体が採取された。AMRに関する2年目のデータは2017年に発表される予定である。

 小売業者および生産業者は、鶏肉のカンピロバクター汚染レベルを低下させてきた。2016年初めまでのデータによると、最高レベルの汚染を示す鶏肉の数は大幅に減少した。

 いずれの食肉も取り扱いおよび加熱法が適切であれば、抗微生物剤耐性菌に感染するリスクは低い。家禽肉、豚肉、牛ひき肉およびラム肉は完全に火を通すべきであり、具体的には全体から湯気が出るまで熱し、生焼けの部分がなく、肉汁が透明になるまで加熱する。


AMRに関する欧州連合(EU)の調査

 FSAは、欧州委員会(EC)の委託を受け、小売り段階の生の牛肉、豚肉および鶏肉のAMR調査を行っている。小売りの食肉を対象としたこの調査は2015年〜2020年に行われ、複数の異なるカテゴリーの抗生物質に耐性を示す細菌(基質特異性拡張型βラクタマーゼ(ESBL)産生大腸菌、AmpC型βラクタマーゼ産生大腸菌、カルバペネマーゼ産生大腸菌)の検査が行われる。

 調査の初年度には、小売りの牛肉および豚肉のそれぞれ312検体が検査された。計624検体のうち8検体のみがAmpCまたはESBL産生大腸菌陽性であった。この8検体は牛肉2検体および豚肉6検体であった。初年度の結果に関する報告書全文が
https://admin.food.gov.uk/sites/default/files/eusurvey-amr-retail-meats.pdf
から入手可能である。

 最終手段の抗生物質であるカルバペネム系抗生物質に耐性を示す分離株は検出されなかった。欧州諸国のデータと比較した結果が2017年に発表される予定である。鶏肉検体の検査は、現在実施中である。



国立医薬品食品衛生研究所 安全情報部