英国食品基準庁(UK FSA)からのカンピロバクター関連情報
http://www.food.gov.uk/


市販鶏肉のカンピロバクター汚染調査の見直し
Update on FSA Campylobacter retail survey
19 April 2016
https://admin.food.gov.uk/news-updates/news/2016/15076/update-on-fsa-campylobacter-retail-survey

(食品安全情報2016年10号(2016/05/11)収載)


 英国食品基準庁(UK FSA)は、小売店・スーパーマーケットで販売される鶏肉のカンピロバクター汚染について1年間にわたる調査を行っている。

 2016年2月25日に発表された第2四半期(2015年10〜12月)の結果によると、最高レベルの汚染を示した鶏肉の割合は、2014年の当該期間の19%から今期は11%に低下していた。これは喜ばしい結果であるが、カンピロバクター汚染率は依然としてかなり高いため、カンピロバクター症患者数を1年間に100,000人減らすという厳しい目標が設定された。


調査の見直し

 鶏は一般に頸部皮膚の汚染レベルが最も高いことから、カンピロバクター汚染の検査では頸部皮膚の菌数を測定してきた。

 しかし、現在、販売前に鶏肉から頸部皮膚を除去する加工業者が増えている。これは、鶏肉のカンピロバクター汚染レベルを低下させるため消費者にとって良いことであるが、FSAの汚染調査にとっては問題となる。すなわち、頸部皮膚付きの検体の割合が鶏肉検体ごとに異なることになるため、小売業者間の公平な比較や、以前の四半期の結果との正確な比較を行うことが困難になる。

 このためFSAは、カンピロバクター汚染問題で小売業者が上げている成果について明確な情報を得るにはどのような種類の検査を行うのが良いかを再考することとし、その間は本調査を中止することにした。

 FSAは、カンピロバクター汚染レベルに関するより適切な指標が得られるよう、検査プロトコル修正案のいくつかの選択肢を検討しており、この夏には検体採取を再開できると考えている。また長期的には、FSAが設定した基準に沿って独自に検査を行い、その結果を公表することを業界に対して要請する予定である。

 本調査の第3四半期の調査結果は2016年5月26日に発表される予定である。しかし、上述の問題があるため、鶏肉のカンピロバクター汚染レベルは全体の数値のみを発表し、小売業者別の分析は行わない予定である。また、検体採取を一時的に停止したため、本調査の最終四半期の結果は発表しない。

 FSAは、調査結果(小売業者別のデータを含む)の発表を続行する準備ができている。調査結果は消費者にとって有益であるだけでなく、販売する鶏肉のカンピロバクター汚染をできるだけ少なくする小売業者の努力を奨励することになる。


(食品安全情報(微生物)No.7 / 2016 (2016.03.30)、No.1 / 2016 (2016.01.06)、No.21 / 2015 (2015.10.14) UK FSA記事参照)



国立医薬品食品衛生研究所 安全情報部