英国食品基準庁(UK FSA)からのカンピロバクター関連情報
http://www.food.gov.uk/


市販鶏肉のカンピロバクター汚染に更なる改善の兆し
Signs of further progress on Campylobacter reduction
25 February 2016
https://admin.food.gov.uk/news-updates/news/2016/14910/signs-of-further-progress-on-campylobacter-reduction

(食品安全情報2016年7号(2016/03/30)収載)


 英国食品基準庁(FSA)は、小売り生鮮鶏肉のカンピロバクター汚染に関する調査の第2四半期(2015年10〜12月)の結果を発表した。

 これによると、最高レベルに汚染された鶏肉の割合は第1四半期に続いて2014年の当該期間に比べ低下している。高菌量(>1,000 cfu/g)のカンピロバクターに汚染されたこれらの丸鶏は、業界により合意された現行の目標の焦点で、最高レベルの汚染を示す丸鶏が小売段階で7%を超えないことを目標としている。このカテゴリーの丸鶏の割合を低下させることで公衆衛生に最大の効果が期待できることが研究により示されている。

 今回の最新のデータでは、検査した丸鶏検体のうち最高レベルの汚染を示した丸鶏の割合は2014年の当該期間の19%から11%に低下している。またカンピロバクター陽性率は74%から59%に低下している。

 FSAの第2期調査・第2四半期では、計966検体の英国産の冷蔵生鮮丸鶏および同数の包装材が検査された。丸鶏は、英国内の大規模な小売チェーン店舗、小規模個人商店および食肉店で購入された。第2期調査では2015年7月に検体採取が開始された。

 今回のデータによると2014年の結果に比べ更なる改善がみられる。カンピロバクター汚染レベルの低下のため、一部の小売業者がバイオセキュリティの強化、SonoSteam法、頸部皮膚の除去などの対策を導入したことがデータの改善に役立っていると考えられる。皮膚の中でもカンピロバクター汚染レベルが最も高い部位である頸部皮膚を除去すると、丸鶏が保有するカンピロバクターの菌数が減ることになる。その結果、鶏肉の安全性は高まるが、2014年にはほとんどの検体で頸部皮膚が主要な検査部位とされていたため、今後の四半期調査結果の第1期調査結果との比較が困難になる可能性がある。FSAは、調査結果の頑健性を維持するため、頸部皮膚除去の調査に対する影響を調べる予定である。

 FSAは、鶏肉のフードチェーン全体にわたり取り組む活動の一環として、2014年2月から丸鶏のカンピロバクター検査を行い、その結果を発表している。カンピロバクターは英国における食中毒で最も頻繁に検出される原因菌で、毎年推定28万人が罹患するとされている。


小売チェーン別の結果のまとめ


*:Othersのカテゴリーには、Kantar社の2015年のデータから市場シェアが小さいと判断されたスーパーマーケット(Iceland社など)、コンビニエンスストア、個人商店、食肉店などが含まれる。


(FSA報告書)
Campylobacter contamination in fresh whole UK-produced chilled chickens at retail: October - December 2015
http://www.food.gov.uk/sites/default/files/campylobacter-survey-report-oct-dec-2015.pdf


(食品安全情報(微生物)No.1 / 2016 (2016.01.06)、No.21 / 2015 (2015.10.14) UK FSA記事参照)



国立医薬品食品衛生研究所 安全情報部