(食品安全情報2016年1号(2016/01/06)収載)
英国食品基準庁(UK FSA)は、小売店で購入した生鮮鶏肉のカンピロバクター汚染に関する2年目の調査の最初の結果を発表した。
2015年の調査の第1四半期(7〜9月)の結果から、最高レベルのカンピロバクター汚染を示す丸鶏の割合が2014年の同時期より低下したことが明らかになった。高菌量のカンピロバクターに汚染されたこれらの丸鶏は、業界により合意された現行の目標の焦点で、最高レベルの汚染を示す丸鶏が小売段階で7%を超えないことを目標としている。このカテゴリーの丸鶏の割合を低下させることで公衆衛生に最大の効果が期待できることが研究により示されている。
今回の新しいデータでは、検査した丸鶏検体のうち最高レベルの汚染を示した丸鶏の割合が2014年7〜9月の22%から15%に低下している。また丸鶏検体のカンピロバクター汚染率は76%であり、2014年の同じ時期の83%より低下した。
2015年第1四半期の結果は以下の通りである。
FSAは、フードチェーン全体にわたりこの問題に取組む活動の一環として、2014年2月から丸鶏検体のカンピロバクター検査を行いその結果を発表している。カンピロバクターは英国における食中毒で最も頻繁に検出される原因菌で、毎年推定28万人が罹患するとされている。
前回の調査と同じく今回も、小売チェーンごとの結果には「ばらつき」があった。Co-opおよびWaitrose両小売チェーンの結果は、最高レベルのカンピロバクターに陽性の検体の割合において両店が最も顕著な低下を成し遂げたことを示している。
小売チェーン別の結果の概要
FSAは、小売チェーン別のデータ(下表)については慎重に解釈する必要があると助言している。各小売チェーンおよび「その他(Others)」に対応するデータには信頼区間(CI)が示されている。CIは、検体数を考慮したうえでの、得られる可能性のある値の範囲を示している。
* 「その他(Others)」のカテゴリーには、Kantar 社の 2010 年のデータから市場シェアが小さいと判断されたスーパーマーケット(Iceland 社など)、コンビニエンスストア、個人商店、食肉店などが含まれる。
消費者向けの助言
FSAは業界に対し、生の鶏肉を消費者が購入する前に加工の各段階でカンピロバクターの汚染レベルを可能な限り低下させるよう強く要請している。以下の適正な調理方法を実践する限り、鶏肉は安全である。
・生の鶏肉はカバーを掛けて冷蔵する。
肉汁が垂れてカンピロバクターなどの食中毒菌が他の食品を汚染することを防ぐため、生の鶏肉にはカバーを掛け、冷蔵庫の棚の最下段に保存する。
・生の鶏肉は洗わない。
生の鶏肉を洗うと水しぶきと共にカンピロバクターなどの細菌が飛散する可能性がある。これらの細菌はすべて加熱調理により死滅する。
・手指および使用した調理器具を洗う。
生の鶏肉の調理に使用したすべての器具、まな板および調理台表面を十分に洗浄し清潔にする。生の鶏肉を取り扱った後は石けんと温水で十分に手指を洗う。これは交差汚染を予防し、カンピロバクターの拡散防止に役立つ。
・鶏肉は十分に加熱する。
供する前に鶏肉は全体から蒸気が出るまで確実に加熱する。肉の最も厚みのある部分に切り込みを入れ、蒸気が出て肉の色がピンク色ではなく、肉汁が透明になっていることを確認する。
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英国の小売生鮮鶏肉のカンピロバクター汚染に関する2年目の調査(2015年7月〜2016年3月)
Year 2 of a UK-wide survey of Campylobacter contamination on fresh chickens at retail (July 2015 to March 2016)
14 March 2017
https://admin.food.gov.uk/science/microbiology/campylobacterevidenceprogramme/retail-survey-year-2
英国の小売生鮮鶏肉のカンピロバクター汚染に関する1年目の調査(2014年2月〜2015年2月)
Year 1 of a UK-wide survey of Campylobacter contamination on fresh chickens at retail (February 2014 to February 2015)
28 May 2015
https://admin.food.gov.uk/science/microbiology/campylobacterevidenceprogramme/retail-survey
(食品安全情報(微生物)No. 21 / 2015 (2015.10.14) UK FSA記事参照)