(食品安全情報2016年11号(2016/05/25)収載)
欧州食品安全機関(EFSA)の重要な目的の一つは、加盟各国と協力して、「リスク評価およびリスクモニタリングの強化に大きな影響を及ぼす可能性がある優先順位の高い活動およびイニシアチブ」について、欧州連合(EU)レベルでのリスク評価を行う課題を選定することである。このためEFSAは、欧州全域のリスク評価専門家を対象としたデルファイ調査を外部委託した。本報告書は、3つのラウンドからなるデルファイ調査のデザイン、実施経過および結果を記載している。
最初の調査(ラウンド0)では、専門家206人に電子メールで調査票が送付され、EFSAが取り組むべきと考えられる3つの重要なテーマを挙げるよう依頼された(2015年7月)。欧州のほとんどの国からの専門家合計88人(42.7%)が回答した。専門家が挙げたテーマは、化学的リスク評価、微生物学的リスク評価、環境リスクまたは栄養関連のいずれかのドメインに分類された。複数または4つのすべてのドメインに関連のあるテーマもあった。すべてのドメインに関連したテーマは、5番目のドメインである包括的(generic)ドメインに分類された。
第2回調査(ラウンド1)は、各リスクドメインに1つずつ計4種類の質問票(それぞれは各ドメインに特有のテーマおよび包括的ドメインに分類されたすべてのテーマを含む)による調査であった。これらの質問票で、専門家は、3つの基準(知見、公衆衛生、EU内協調)にもとづいてテーマの重要度のランク付けを行い、最も重要な2つのテーマについてはその選択理由を説明するよう求められた。質問票はEFSA科学委員会のメンバーに対して試験的に使用され、メンバーの意見を考慮して修正が行われた。質問票はその後、ラウンド0で回答した専門家およびEFSAにより特定された専門家あわせて500人に対し、4つの専門家グループのそれぞれが異なるドメインの質問票を受け取るよう送付された(2015年9月)。回答したのは500人のうち165人(33.0%)の専門家で、これに科学委員会のメンバーが加わり、回答者は計173人となった。それらの回答について、3つの基準にもとづくランク付け結果から「重要度」スコアが算出され、ドメインごとに上位10位までのテーマが特定された。特定された10テーマは、それらのランク付け結果、専門家による選択理由(上位2テーマについて求められたもの)とともにリスクドメインごとの再度の質問票の作成に使用された。この質問票で専門家は、再度3つの基準にもとづきテーマのランク付けを行うとともに、EFSAによる検討が重要と考えられるテーマ1つを選択するよう依頼された。
第3回調査(ラウンド2)では、第2回調査の回答者173人に対しそれぞれの専門分野に関連した質問票が送付された(2015年10月)。回答者は計137人(79.2%)で、その内訳は、化学分野41/48人(85.4%)、環境分野24/31人(77.4%)、微生物分野34/45人(75.6%)および栄養分野38/49人(77.6%)であった。本報告書はこのラウンド2の結果を詳述している。質問票に対する回答の解析によると、上位にランク付けされたいくつかのテーマではコンセンサスに向けた動きが認められる。このことに加え、複数のリスクドメインにわたる重要なテーマがいくつかあることから、専門家の今後の協議に付すべきテーマは28に減少している。
この28のテーマのうち、微生物学的ドメインに分類されるものは以下のとおりであった。