ドイツ連邦リスクアセスメント研究所(BfR)からのカンピロバクター関連情報
http://www.bfr.bund.de/


サルモネラおよびカンピロバクター感染の流行シーズン
High season for Salmonella and Campylobacter
16.08.2016
http://www.bfr.bund.de/en/press_information/2016/32/high_season_for_salmonella_and_campylobacter-198328.html

(食品安全情報2016年22号(2016/10/26)収載)


 夏季は細菌の活動が活発になる時期である。気温の上昇に伴い、細菌性疾患の患者数も増加する。昨年は、ドイツ国内でサルモネラ感染患者13,823人およびカンピロバクター感染患者70,190人がロベルト・コッホ研究所(RKI)に報告された。両菌は食品からも検出される可能性がある代表的な病原菌である。温暖な季節には、疾患予防のために食品や調理場の衛生管理が特に重要である。気温の上昇とサルモネラやカンピロバクター感染者数の増加との時間的相関が、科学雑誌「Scientific Reports」に掲載された論文(下記参照)により実証された。ドイツ連邦リスクアセスメント研究所(BfR)の研究者が統計解析でこの論文に大きく貢献している。

 研究者らは、ベルリン、ミュンヘン、およびドイツ国内の農村地域3カ所の気温およびサルモネラ症・カンピロバクター症患者数に関する4年分のデータを分析した。包括的な統計解析から、気温の上昇とサルモネラおよびカンピロバクター感染患者数の増加との間に時間的相関が存在することが示された。例えば、サルモネラ(Salmonella Enteritidis)感染患者数と3週間前の平均気温との間に関連が認められた。

 サルモネラは、高温の条件下で増殖速度が増すことが知られている。したがって、外気温が高い環境では、動物性食品や腐敗しやすい食品は十分に冷却することが特に重要である。また、消費者が屋外で調理等を行う際に衛生規則を無視することが多いという事実も、夏季にサルモネラ感染が増加する原因となっている。例えば、病原菌が生肉からサラダへと伝播する可能性がある。さらに、ピクニックやバーベキューなどの際には、食品が十分に冷却されていないことが多い。

 カンピロバクター感染患者の季節的な増加は、気温の上昇に伴いハエの活動が活発になることが一因となっている可能性がある。ハエは、家禽類をはじめとする動物集団内でカンピロバクターを媒介することがあることが知られている。

 調査の結果から、気温が高い季節には食品の製造・調理時に衛生対策の遵守をより厳密にすべきであることが明らかになった。


(原著論文)

気温とサルモネラおよびカンピロバクター感染患者発生との関連
Association between the ambient temperature and the occurrence of human Salmonella and Campylobacter infections
Scientific Reports, 6:28442 (Published: 21 June 2016)
http://www.nature.com/articles/srep28442



国立医薬品食品衛生研究所 安全情報部