アイルランド食品安全局(FSAI)からのカンピロバクター関連情報
http://www.fsai.ie/


アイルランド食品安全局(FSAI)が2014年次報告書を発表
Food Safety Authority of Ireland Annual Report 2014 Published
17 August 2015
https://www.fsai.ie/publications_annual_report_2014/
https://www.fsai.ie/news_annualreport_2014/

(食品安全情報2015年19号(2015/09/16)収載)


 アイルランド食品安全局(FSAI)が2014年の年次報告書を発表した。報告書から食品関連インシデントおよび食品由来疾患アウトブレイクに関する部分を紹介する。


食品関連インシデント

 食品関連インシデントは、食品事業者により特定された問題、公的管理の際に公的機関により指摘された問題、あるいは欧州連合(EU)の「食品および飼料に関する早期警告システム(RASFF)」等を介して他国から得られた情報により特定された問題から生じる可能性がある。

 2014年にFSAIは、2013年(449件)より10%多い494件の食品関連インシデントに対応した(表)。これらのインシデントは、重大な食品関連インシデント(full food incident)、重要度の低い食品関連インシデント(minor food incident)、複数国にわたる食品関連の苦情(cross-country food complaint)、および食品偽装(food fraud)に分類される。


表:食品関連インシデントのカテゴリー別の件数(2010〜2014年)


 FSAIが2014年に調査した重大な食品関連インシデントは245件(食品偽装インシデント21件を含む)で、2013年と比べると28件(13%)の顕著な増加であった。これら245件のインシデントについて計271のハザードが特定され、その内訳は化学的ハザード(81)、その他のハザード(67)、微生物学的ハザード(44)、アレルゲン(37)、その他の生物学的ハザード(マイコトキシンを含む、17)、ラベル表示(14)、および異物(11)の順であった(図)。複数のハザードに関連したインシデントが23件あった。


図:重大な食品関連インシデントに関連したハザードのカテゴリー別の数(2014年、n=271)


 化学的ハザードの内訳は、成分/添加物(44)、殺虫剤/残留動物用医薬品(13)、食品接触材料からの移行物質(10)、重金属(7)、生物学的汚染(4)、および産業汚染(3)であった。

 2014年にFSAIが調査した重要度の低い食品関連インシデントは計160件で、2013年と比べると19件(13.5%)の増加であったが、2012年までの件数と比べるとほぼ同レベルであった。またFSAIが2014年に処理した複数国にわたる食品関連の苦情は87件で、2013年の91件に比べて4件少なかった。

 2014年の食品関連インシデント494件には食品の原産国として44カ国が関連し、このうち367件にはEU加盟国が原産国として関連していた。アイルランドが208件(42.1%)のインシデントに原産国として関連し、次いで英国(61件、12.3%)、北アイルランド(26件、5.3%)、米国(23件、4.7%)、中国(17件、3.4%)、フランス(13件、2.6%)およびポーランド(12件、2.4%)の順であった。


食品由来疾患アウトブレイク

 食品が感染経路として疑われるアウトブレイクが発生すると、FSAIは、関係当局および感染症のサーベイランス・疫学調査の担当機関であるアイルランド保健サーベイランスセンター(HPSC)と緊密に協力して対応する。HPSCの暫定データによると、2014年は8件の胃腸炎(感染性胃腸疾患)アウトブレイク、すなわち2件のサルモネラ症アウトブレイク、2件のベロ毒素産生性大腸菌(VTEC)感染アウトブレイク、3件の急性感染性胃腸炎アウトブレイクおよび1件のカンピロバクター症アウトブレイクで食品が原因として疑われた。これら8件のアウトブレイクにより患者37人が発生し3人が入院した。



国立医薬品食品衛生研究所 安全情報部