(食品安全情報2015年6号(2015/03/18)収載)
英国食品基準庁(UK FSA)は、生鮮鶏肉のカンピロバクター汚染に関して1年間にわたる調査を行っており、今回その最初の9カ月間の結果を発表した。カンピロバクターは主に生の家禽肉に存在する食品由来細菌で、英国での食中毒の最も重要な原因菌である。
今回初めて調査結果が公式統計として発表された。報告書全文が下記URLから入手できる。2014年2〜11月に採取された検体の検査集計結果が、主要な小売店別の結果を含めて記載されている。
https://admin.food.gov.uk/sites/default/files/campylobacter-retail-survey-q3-results.pdf
これまでに得られた結果から以下が明らかになった。
12カ月にわたるFSAの調査は2014年2月から2015年2月まで行われ、英国の小売チェーン店舗、小規模個人商店および食肉店で購入した丸鶏約4,000検体が検査される予定である。全調査結果は2015年5月に発表される予定である。
小売店別の結果の要約
以下の結果はすべて今回の報告書からの抜粋である。この報告書には、検査結果の詳細な説明と検査方法の背景が記載されている。
FSAは、各小売店のデータの解釈には注意が必要であると助言している。各小売店および「その他」の小売店の結果には信頼区間(CI)が示されている。CIは、採取された検体の数に応じて、可能性のある結果の値の範囲を示している。
95%信頼区間とは、真の汚染率が95%の確率で信頼限界の上限と下限の間に入ることが期待できることを意味する。信頼区間の幅に影響を与える重要な要素はサンプルサイズである。市場シェアが比較的小さい小売店はサンプルサイズが小さいため、信頼区間の幅が大きくなる。
信頼区間を考慮すると、鶏肉の最高レベル(>1,000 cfu/g)のカンピロバクターの陽性率が業界の平均より低い小売店は主要な小売店のうちTescoのみで、平均より高い小売店はAsdaのみであることがわかった。しかし今回の結果から、カンピロバクター汚染に関する業界統一の低減目標を近い将来満たす可能性がある小売店は存在しないことが示唆された。
(表)
* 「その他」には、市場調査会社Kantar社の2010年のデータによって市場シェアが小さいと考えられるスーパーマーケット(Lidl、Aldi、Icelandなど)に加え、コンビニエンスストア、個人商店、食肉店などが含まれる。
(食品安全情報(微生物)No.25 / 2014 (2014.12.10)、No.19 / 2014 (2014.09.17)、No.18 / 2014 (2014.09.03)、No.13 / 2014 (2014.06.25) UK FSA記事参照)