ドイツ連邦リスクアセスメント研究所(BfR)からの大腸菌O104関連情報
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スペイン産キュウリから検出された腸管出血性大腸菌は患者由来の菌との関連が確認されず
EHEC germs on Spanish cucumbers do not correspond to the pathogen type of the patients concerned
13/2011, 01.06.2011
http://www.bfr.bund.de/en/press_information/2011/13/ehec_germs_on_spanish_cucumbers_do_not_correspond_to_the_pathogen_type_of_the_patients_concerned-70733.html

(食品安全情報2011年12号(2011/6/15)収載)

 現在ドイツを中心に発生中の大腸菌感染アウトブレイクの病因物質は腸管出血性大腸菌(EHEC)O104:H4である。EHECは、腸内細菌叢を形成する無害な大腸菌と一般的な性状に違いがないため、特定が困難である。このため、EHECを確実に特定するには、志賀毒素/ベロ毒素、EHECに特有の他の性状および血清型を検査しなければならない。

 ロベルト・コッホ研究所(Robert Koch Institute)がこれまでに行った疫学調査から、生のトマト、キュウリおよびサラダが感染源である可能性が高いと考えられている。先週、ハンブルクにある保健・消費者保護局の衛生・環境研究所(HU)が、スペイン産のキュウリからEHECを検出した。しかし、HUがこれまでに検査を行った2検体については、患者の検便から分離された大腸菌O104:H4との関連が示されていない。タイピングを行うためにドイツ連邦リスクアセスメント研究所(BfR)の大腸菌の国立リファレンス検査機関に4検体が提供された。

 国立リファレンス検査機関は、リアルタイムPCR法を用いて病因物質の検査を行った。この方法により、志賀毒素遺伝子およびO104関連遺伝子の検査を同時に行うことができる。

 4検体のいずれからもEHEC O104:H4は検出されなかった。4検体中2検体からは、別の血清型の志賀毒素産生性大腸菌が検出された。

 感染源が特定されない限り、消費者にはあらゆる予防策を講じることが求められる。フードチェーンのどの時点で汚染が発生したかもまだ明らかではない。このように原因の詳細はまだ不明であるが、BfRは、念のために、引き続き生のトマト、キュウリおよびサラダを喫食しないよう推奨している。

 下痢を呈している者は、手指の衛生対策を徹底するべきである(特に乳幼児や免疫機能が低下している者と接する場合)。BfRが発行したEHEC感染防止のためのパンフレットに記載されている、調理時の衛生に関する推奨事項は引き続き有効である。


国立医薬品食品衛生研究所安全情報部