循 環 器 病 薬 に 関 す る 研 究 : 抗 不 整 脈 薬

(アミオダロン、メキシレチン、フレカイニド等)


 本研究は、国立循環器病センターとの共同研究である。
 アミオダロンはクラスIII型に分類される抗不整脈薬で、上室性および心室性の不整脈に有効である。他の抗不整脈薬が効果を示さない重症患者に対して用いられることが多い。体内半減期が長く、他剤に比べて比較的高率で、肺繊維症や甲状腺機能障害等の副作用が出現することが知られており、各個人に適した薬剤量を投与すること、および副作用発現を予測することが課題とされる。本プロジェクトでは、これらの問題の解決のために、薬物動態に関与する薬物代謝酵素(CYP3A4, CYP2C8等)およびトランスポーター(ABCB1)、およびその転写制御因子、さらに標的分子であるチャンネル(SCN5A等)等の遺伝子多型解析を行っている。なお、薬物動態(PK)解析に関しては、国立循環器病センターで行っている。これら遺伝子多型と、血中濃度等のPK指標や副作用等の臨床情報との相関を明らかとし、テーラーメイド投薬への応用を目指している。また、CYP3A4やCYP2C8に関しては、同定した一塩基多型による機能変化に関する解析も行っており、遺伝子多型が及ぼす影響の原因の確定も行っている。

 

 

 

 

 

 

 メキシレチンはクラスIb型に分類される抗不整脈薬で、心室性不整脈に有効である。その主たる作用は過度なナトリウムチャンネル活動の抑制である。副作用の多くはこの抑制作用が異常に強く見られることに基づくものと予想され、徐脈やめまい、ふるえなどが知られている。すなわち、薬物の過度の血中濃度上昇はこのような副作用の原因となると考えられ、その場合は解毒代謝の低下が副作用発現に大きく寄与するものと考えられる。本研究では、解毒代謝酵素(CYP2D6、CYP1A2等)およびその転写制御因子、標的分子である心臓のナトリウムチャンネル(SCN5A等)等の遺伝子多型を解析している。なお、PK解析に関しては、国立循環器病センターで行っている。これら遺伝子多型と血中濃度等のPK指標・副作用等の臨床情報との相関を明らかとし、テーラーメイド投薬の実現を目指している。

 

 平成14年度より、上室性不整脈および心室性不整脈の両者に有効であるクラスIc型のフレカイニド、ピルジカイニド等も対象に加え、解毒代謝に関与する代謝酵素(CYP2D6等)およびその転写制御因子、心臓のナトリウムチャンネル(SCN5A等)等の遺伝子の多型解析を開始している。なお、PK解析に関しては、国立循環器病センターで行っている。

   

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更新日: 2002年9月10日
国立医薬品食品衛生研究所 薬剤反応性遺伝子解析プロジェクトチーム