抗 癌 剤 に 関 す る 研 究 : 5 - F U 系 抗 癌 剤


 本研究は国立がんセンターとの共同研究である。
  5-FU系抗癌剤の対象薬剤としては、5-フルオロウラシル(5-FU)等を予定している。これらフッ化ピリミジン系薬物は大腸癌、乳癌、胃癌等に広く用いられている抗腫瘍薬である。
  5-FUは、thymidine phosphrylase (TP)等により代謝されFdUMPとなり、標的酵素であるthymidylate synthase (TS) を阻害することで癌細胞に障害を与える。TSに関しては、そのプロモーター領域の遺伝子多型と予後との関連が示唆されている。また、5-FUの解毒的な分解を触媒する酵素ジヒドロピリミジンデヒドロゲナーゼ(DPD)の活性には明瞭な個体差があることが報告されており、そのような個体差の原因となりうる遺伝子多型(SNP)が、欧米人において知られている。しかし、その既知異型の日本人における出現頻度はかなり低く、日本人における新たな新規多型を発見する必要がある。
 これらの薬剤を投与された患者のゲノムDNAを用いて、関連遺伝子の多型解析を行い、見い出された遺伝子多型と、当該薬剤の薬効や有害事象との相関を明らかにする予定である。

          

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更新日: 2002年9月15日
国立医薬品食品衛生研究所  薬剤反応性遺伝子解析プロジェクトチーム