Eurosurveillanceのノロウイルス関連情報
http://www.eurosurveillance.org/


冷凍ベリー類の喫食に関連した食品由来疾患(欧州連合、1983〜2013年)
Food-borne diseases associated with frozen berries consumption: a historical perspective, European Union, 1983 to 2013
Eurosurveillance, Volume 20, Issue 29, 23 July 2015
http://www.eurosurveillance.org/ViewArticle.aspx?ArticleId=21193

(食品安全情報2015年22号(2015/10/28)収載)


 欧州連合・欧州経済領域(EU/EEA)内で最近5年間に発生したA型肝炎ウイルス(HAV)およびノロウイルス(NoV)感染アウトブレイクの疫学調査により、原因食品としての冷凍ベリー類の重要性が浮き彫りになっている。EU域内で過去10年以上にわたりベリー類の消費が増えていることに鑑み、ベリー類に関連する潜在的な脅威のレベルを評価するために現存するエビデンスのレビューを行った。冷凍ベリー類の喫食に関連したアウトブレイク/汚染事例について、文献およびアクセス制限のある4つのオンラインプラットフォーム(表1参照)の検索を行った。また、改善の余地がある部分を特定するため、各情報ソースの評価を行った。今回のレビューにより1983〜2013年に報告された32件の個別事例(アウトブレイク、食品汚染)が明らかになり(表2)、このうち26件は2005年以降に報告されていた。特定された病原体はNoV、HAVおよび赤痢菌(Shigella sonnei)であった。最も多く報告された病原体はNoVで、27事例および15,000人以上の報告患者に関連していた。2005〜2013年の期間について、3種類の重複する情報ソースを対象に捕獲再捕獲法による分析が行われた。その結果、当該事例の把握率は62%と推定された。冷凍ベリー類を原因食品とするNoVおよびHAV感染アウトブレイクおよび冷凍ベリー類の同ウイルス汚染事例は特に2005年以降増加しており、この増加は冷凍ベリー類の消費量の増加に関連している。将来の予防戦略策定に役立てるためには、冷凍ベリー類に関連する健康リスクのレビューが必要である。食品由来事例のモニタリング、予防および管理対策を向上させるためには、現行のコミュニケーションプラットフォームおよびデータベースをさらに効果的に統合することをEU/EEAレベルで追求すべきである。


表1:欧州連合(EU)が管理運営するデータベースとそれらの設立目的


表2:欧州連合・欧州経済領域(EU/EEA)域内で冷凍ベリー類に関連して1983〜2013年に報告された食品由来病原体感染アウトブレイクおよび同食品汚染事例

*EPIS FWD、TTT、EFSA、RASFFは表1を参照。
**HAV:A型肝炎ウイルス、NoV:ノロウイルス



国立医薬品食品衛生研究所安全情報部