イングランド公衆衛生局(UK PHE)からのノロウイルス関連情報
https://www.gov.uk/government/organisations/public-health-england


感染性胃腸疾患に関する年次報告書(2011〜2012年)
Gastrointestinal infections: 2011 and 2012 report
11 December 2013
http://webarchive.nationalarchives.gov.uk/20140714084352/http://www.hpa.org.uk/webc/HPAwebFile/HPAweb_C/1317140455476 (報告書)
http://webarchive.nationalarchives.gov.uk/20140714084352/http://www.hpa.org.uk/Publications/InfectiousDiseases/GastrointestinalOutbreaksAndIllnessReports/1312Gastointestinalreport2011to2012/

(食品安全情報2014年1号(2014/01/08)収載)


 イングランド公衆衛生局(UK PHE)は標記の報告書を発行した。このうちの要点部分を紹介する。

  • 2011〜2012年には、ベロ毒素産生性大腸菌(VTEC)O157、クリプトスポリジウム(Cryptosporidium parvum)およびサルモネラ(Salmonella enterica)による大規模なアウトブレイクが全国レベルのサーベイランスにより探知された。

    • 2011年、イングランドで最大規模のVTEC O157感染アウトブレイクについて調査が行われた。2010年12月〜2011年7月に、イングランド、ウェールズおよびスコットランドでVTEC O157 ファージタイプ(PT)8の検査機関確定患者計252人が特定された。複数機関からなるアウトブレイク対応チームが実施した調査および症例対照研究の結果、家庭でのセイヨウネギ(leek)およびジャガイモの取り扱いと感染との強い関連が示された。
    • 2012年春、英国で最大規模の食品由来クリプトスポリジウム症アウトブレイクが発生した。症例数急増の最初の兆候は、ヨークシャー・アンド・ザ・ハンバー(Yorkshire and Humber)リージョンの健康保護ユニットにより確認された。イングランドおよびスコットランドでの全国サーベイランスにより、通常より300人以上多いクリプトスポリジウム症患者が特定された。クリプトスポリジウムリファレンス検査機関は、アウトブレイク株をCryptosporidium parvum IIaA15G2r1と特定した。複数機関からなるアウトブレイク対応チームが実施した調査および症例対照研究の結果、包装済み野菜サラダの喫食と感染との強い関連が示された。
    • 2011年12月下旬、イングランド、ウェールズ、北アイルランド、およびドイツでサルモネラ(Salmonella Newport)感染患者数の増加が報告された。患者発生はスコットランドおよびアイルランドでも報告された。アウトブレイク期間中(2011年10月〜2012年1月)に各地で報告された確定患者は計63人で、地域別の内訳はイングランドが31人、ドイツが17人、スコットランドが5人、アイルランドが4人、ウェールズが4人、北アイルランドが2人であった。本アウトブレイクに先立ち、2011年11月にイングランドで実施された食品汚染調査において、そのまま喫食可能なカットされたスイカからS. Newportが検出されていた。胃腸細菌リファレンス検査機関による全ゲノム塩基配列解析の結果、本アウトブレイクの患者およびスイカ検体から分離されたS. Newport株の遺伝的プロファイルは相互に強い関連を有していることがわかった。
  • 2011年はVTEC感染患者数が2001年以降で最多であった。2011年および2012年はともに溶血性尿毒症症候群(HUS)の発症率が3%で、2010年(9%)より低かった。

  • サルモネラ(S. enterica)感染患者の年間報告数は、1990年代をピークに減少が続いている。ファージタイプが決定されたサルモネラで2012年に最も多く報告されたのはS. Enteritidis PT 8であった。2007年以降、S. Typhimurium DT 193の増加傾向が続いている。

  • リステリア(Listeria monocytogenes)の感染例は減少が続いている。しかしながら、患者数は依然として1990年代よりも多い。リステリア症のサーベイランスシステムにより、リステリア感染のリスク因子の分析が可能になっている。

  • 2012年のカンピロバクター属菌感染患者数は、2011年より3.7%、2004年より31%増加した。

  • サルモネラのアウトブレイク件数が増加する一方、カンピロバクターのアウトブレイク件数は減少傾向である。加熱不十分な鶏レバーパテ/パルフェが依然としてカンピロバクターアウトブレイクで頻繁に報告される感染源となっている。

  • 2011年7月〜2012年6月のシーズンに病院アウトブレイク報告プログラム(Hospital Outbreak Reporting Scheme)に報告されたノロウイルスアウトブレイクの件数は、前シーズンより41%増加した。検査機関からの報告でも同様の傾向が認められた。2012〜2013年のシーズンは流行が例年より早く始まり、2012年10月末までに報告されたアウトブレイクの件数は前年までの5年間の平均に比べ63%多かった。

  • 英国の小児のHUS患者数に関する現在進行中の調査により、VTECの全国強化サーベイランスが補強され、流行の実態がより詳細に解明されると考えられる。



国立医薬品食品衛生研究所安全情報部