英国食品基準庁(UK FSA)からのノロウイルス関連情報
http://www.food.gov.uk/


英国食品基準庁(FSA)が2011/12年次報告書および決算報告書を発行
Annual Report and Accounts 2011/12 published
16 July 2012
http://www.food.gov.uk/multimedia/pdfs/publication/consolidatedaccount.pdf(年次報告書PDF)
http://www.food.gov.uk/multimedia/webpage/anrepacc1112
http://www.food.gov.uk/news-updates/news/2012/july/annualreport

(食品安全情報2012年16号(2012/08/08)収載)

 英国食品基準庁(UK FSA)は「Annual Report and Consolidated Accounts 2011/12(2011/12年次報告書および連結決算報告書)」を発行した。Westminster Spending Review 2010において、2014/15年度までに運営管理費の実質33%節減およびプログラム経費の18%節減という目標が設定されたが、本報告書には、FSAが過去1年間に、前年度までと同様、この目標の到達に向けて前進したことが示されている。英国食品基準庁(UK FSA)は「Annual Report and Consolidated Accounts 2011/12(2011/12年次報告書および連結決算報告書)」を発行した。Westminster Spending Review 2010において、2014/15年度までに運営管理費の実質33%節減およびプログラム経費の18%節減という目標が設定されたが、本報告書には、FSAが過去1年間に、前年度までと同様、この目標の到達に向けて前進したことが示されている。

 2010/11年度の基本予算1億1,800万ポンドに対し、FSAは、2011/12年度末までに2,700万ポンドのコスト削減を実現した。その内訳は運営管理費で800万ポンド(16%)、プログラム経費で1,900万ポンド(28%)の節約であった。FSAはこのように経費の節約を進めながら、国民のためのより安全な食品の確保に継続して努めてきた。

 FSAは2011/12年度に食品安全関連インシデントとして、前年度より187件多い1,787件を取り扱った。このうちの6件は、死亡者や重症者の発生、または広範囲にわたる懸念の惹起の可能性がある「ハイレベル」のインシデントであった。ハイレベルインシデントのうちのいくつかは、英国外に由来するものであった。

【年次報告書の活動概要の部分から、食品微生物関連の一部を以下に紹介する】

ノロウイルスの流行に対処するための一般住民への助言

・「対食品由来疾患戦略(Foodborne Disease Strategy)」について特記すべきことの1つは、カンピロバクター症患者の低減を目的とした5年間のプログラムである「カンピロバクターリスク管理プログラム」の作成および実施である。FSAは、鶏とたいの汚染の低減のために新しい対策を見出し、試行するカンピロバクター合同作業グループを介して、British Poultry Council(英国家禽類評議会)、National Farmers Union(英国農家連盟)、British Retail Consortium(英国小売業組合)、および英国環境・食糧・農村地域省(Defra)との協力態勢を今後も継続する。「カンピロバクターリスク管理プログラム」は順調に進んでおり、FSAは、汚染が最も濃厚な鶏の英国内での割合を基準である2008年の27%から2015年には10%に低下させるという自主目標について業界と合意した。この目標が達成されれば、カンピロバクター食中毒は最大30%減少し、それによって患者数は年間で最大約90,000人減少すると推定される。

・「対食品由来疾患戦略」の他の重要な特徴として「リステリアリスク管理プログラム」の開始が挙げられる。このプログラムの目的は、罹患リスクの高いヒト集団、医療施設、および特定の食品業を標的に定めることにより、英国内のリステリア症患者(およびそれによる死亡者)の数を減らすことである。FSAは、他の政府部門、健康保護庁、非政府組織、英国国営医療サービス(NHS)、地方自治体、および食品業界の積極的な協力のもとにこのプログラムを進めている。プログラムの最終案が2011年10月に発表され、活動を進めるために関係者からなる作業グループがいくつか設置された。

・ノロウイルスは重要な食品由来病原体の一種であるが、同ウイルスに関する知見は依然として大幅に不足している。この問題に取り組むため、「対食品由来疾患戦略」の一部に食品由来ウイルス研究プログラムが設定された。今後の対策の最も効果的な標的の設定に参考となるように、この研究プログラムは、ノロウイルスの伝播経路、英国内でのノロウイルス感染にフードチェーン全体(食品取扱者も含む)が果たす役割、およびノロウイルス感染症の蔓延の動態について理解を深めることを目的としている。FSAは、養殖場のカキでのノロウイルスの汚染率、分布および汚染濃度に関して調査結果を2011年11月に発表した。これらの結果は、他の調査研究で得られたデータとともに、英国のフードチェーンに存在するノロウイルスのリスクへの対処に必要な基礎的エビデンスとなるであろう。この調査のデータは欧州食品安全機関(EFSA)にも提供され、カキのノロウイルス汚染に関してEFSAが2012年1月に発表した科学的意見に参考とされた。


国立医薬品食品衛生研究所安全情報部