米国疾病予防管理センター(US CDC)からのノロウイルス関連情報
http://www.cdc.gov/


2006年、米国の食品由来疾患アウトブレイクのサーベイランス結果
Surveillance for Foodborne Disease Outbreaks --- United States, 2006
Morbidity and Mortality Weekly Report, June 12, 2009 / 58(22); 609-615
http://www.cdc.gov/mmwr/preview/mmwrhtml/mm5822a1.htm

(食品安全情報2009年13号(2009/06/17)収載)

 米国疾病予防管理センター(CDC)は、食品由来疾患アウトブレイクサーベイランスシステム(FBDSS: Foodborne Disease Outbreak Surveillance System)を通じて全州・領土から食品由来疾患アウトブレイクに関するデータを収集しており、本報告は2006年に収集された食品由来疾患アウトブレイク疫学データの要約である。合計1,270件の食品由来疾患アウトブレイクが報告され、患者は27,634人、死者は11人であった。病因が確認された624件の食品由来疾患アウトブレイクにおいて、ノロウイルス感染によるものが最も多く、624件の54%を占め(患者11,879人)、次がサルモネラ菌感染によるもの(18%、3,252人)であった。死者11人のうち10人の死因は細菌感染で(E. coli O157:H7が6人、Listeria monocytogenesが2人、Salmonella EnteritidisおよびClostridium botulinumが各1人)、1人の死因は化学物質(キノコ毒)であった。単一の原因食品によるアウトブレイクのうち患者が最も多かった食品は、鶏肉(21%)、葉物野菜(17%)および果物/ナッツ類(16%)であった。本報告に含まれる情報は、公衆衛生担当者による1)農場から食卓までの経路における特定の食品中の特定の病原体への対策戦略の絞り込み、2)レストラン従業員や一般消費者への食品の適切な取り扱いの支援の際に役立つものである。

 州、地域の保健当局は、ウェブベースの標準報告様式を用いて電子食品由来アウトブレイク報告システム(eFORS)に食品由来疾患アウトブレイクを自主的に報告している。食品由来疾患アウトブレイクは、共通の食品の摂取によって同じような症状の患者2人以上が発生する事例と定義されている。CDCは、報告担当者へのガイドとして、種々の病因物質について、その臨床症状、潜伏期間および確定検査に関する情報を公開している(食品由来疾患確定診断ガイドhttp://www.cdc.gov/foodborneoutbreaks/guide_fd.htm)。

 担当者は、病因を「確定された病因」(少なくとも1つの病因物質を検出)または「疑いのある病因」(臨床症状や疫学情報にもとづく)として報告する。本報告では、単一の確定、もしくは疑い病因による食品由来疾患アウトブレイクを詳細な解析の対象とした。CDCでは、アウトブレイク報告において、原因食品を魚類、甲殻類、軟体動物、乳製品、卵、牛肉、狩猟動物の肉、豚肉、鶏肉、穀類/豆、油脂/砂糖、果物/ナッツ類、キノコ、葉物野菜、根菜、発芽野菜、つるまたは茎の野菜の17種類に分類している。

 2006年は48州の保健当局から合計1,270件の食品由来疾患アウトブレイクが報告された。このうち、「確定された」または「疑いのある」単一の病因物質が特定できた事例は884件(70%)で(確定621件、疑い263件)、患者は22,510人(81%)であった。州ごとのアウトブレイク報告数は0件から76件の範囲で、人口10万人当たりのアウトブレイク報告率の中央値は0.21(範囲0〜1.3)であった。7州(ハワイ、メイン、ミネソタ、ノースダコタ、オレゴン、バーモントおよびウィスコンシン)のアウトブレイク報告率は中央値の3倍以上であった。アウトブレイク報告率は病因(細菌、化学物質、寄生虫、ウイルス)によって大きく異なっていた。

 単一の病因物質が確定されたアウトブレイク621件(患者18,111人)のうち、343件(55%)(患者11,981人、66%)の病因はウイルス、217件(35%)(患者5,782人【編者注:文章中では5,781人と記載されているが表中の5,782人が正しいと思われる】、32%)は細菌、52件(8%)(患者219人、1%)は化学物質、9件(1%)(患者129人【編者注:文章中では29人と記載されているが表中の129人が正しいと思われる】 、1%)は寄生虫であった。ウイルスが確定病因とされた食品由来疾患アウトブレイクのうち337件(98%)はカリシウイルス科ウイルスによるものであり、そのすべてはノロウイルスによるものであった。細菌ではサルモネラが最も多く報告され、細菌が確定病因とされた食品由来疾患アウトブレイクのうちの112件(52%)を占め、血清型別ではSalmonella Enteritidisが最も多かった(28件、13%)。志賀毒素産生性大腸菌(STEC)によるアウトブレイクは29件(13%)報告され、このうち27件が血清型グループO157によるものであった。

 2州以上で暴露が発生したアウトブレイクと定義される、複数の州にまたがるアウトブレイクは11件報告された。このうち10件は細菌によるもの、1件は化学物質による事例で、後者では床のシーリング剤(a floor sealant)に汚染されたオーブン焼き(baked)食品が原因食品であった(患者11人)。細菌が確定病因である10件のうち4件では大腸菌O157が病因で、原因食品は3件が葉物野菜(患者395人)、1件が牛肉(44人)であった。同じく4件の確定病因はサルモネラで、うち2件ではトマト(患者307人)、1件ではピーナツバター(患者715人)、他の1件ではフルーツサラダ(患者41人)が原因食品であった。Vibrio parahaemolyticus感染アウトブレイク1件の原因食品はカキ(患者177人)、C. botulinum毒素によるアウトブレイク1件ではニンジンジュースであった(患者4人)。

 528件(42%)の食品由来疾患アウトブレイクにおいて原因食品が特定され、このうち243件(46%)(患者6,395人、50%)では、上述の17種類のうちの1種類の食品のみを原因食品としていた。単一の原因食品によるアウトブレイク243件において、アウトブレイク件数が多かった原因食品は、魚類(47件)、鶏肉(35件)および牛肉(25件)、患者数が多かった原因食品は、鶏肉(1,355人)、葉物野菜(1,081人)および果物/ナッツ類(1,021人)であった。多数のアウトブレイク患者発生の原因となった病原体と食品の組み合わせは、Clostridium perfringensと鶏肉(患者902人)、サルモネラと果物/ナッツ類(776人)、ノロウイルスと葉物野菜(657人)、STECと葉物野菜(398人)、サルモネラとつる・茎野菜(331人)、Vibrio parahaemolyticusと軟体動物(223人)であった。

 乳製品は原因食品として、単一原因食品によるアウトブレイクの患者数の3%を説明するにすぎなかったが(16件、193人)、その71%(137人)については未殺菌乳が原因食品であった(10件)。未殺菌乳によるアウトブレイクの病原菌はカンピロバクター(6件)、STEC O157(2件)、サルモネラ(1件)およびリステリア(1件)で、11人が入院し1人が死亡した。

 単一の原因食品中の確定病因によるアウトブレイクで最大規模の事例は、C. perfringensに汚染されたオーブン焼きチキン(baked chicken)によるアウトブレイク(患者741人)、サルモネラに汚染されたピーナツバターによる事例(714人)、大腸菌O157に汚染されたホウレンソウによる事例(238人)であった。ホウレンソウによるアウトブレイクでは31人が溶血性尿毒症症候群を発症し、小児を含む5人が死亡した。汚染ホウレンソウは1カ所の農場で栽培されたもので、農場付近のウシと野生のブタの糞便からアウトブレイク株が分離された。


国立医薬品食品衛生研究所安全情報部