ヒトの胃腸炎アウトブレイクの原因食品からウイルスを抽出する方法に関する研究
Detection of Noroviruses in Foods: A Study on Virus Extraction Procedures in Foods Implicated in Outbreaks of Human Gastroenteritis.
(要旨要訳:食品安全情報2007年1号(2007/01/05)収載)


Detection of Noroviruses in Foods: A Study on Virus Extraction Procedures in Foods Implicated in Outbreaks of Human Gastroenteritis.
S.A.Rutjes, F.L.-Verschoor, W. H. M. Van Der Poer, Y. T. H. P. VAN Duijnhoven,&D A. M. De Roda Husman
Journal of Food Protection, Vol. 69, No.8, pages 1949-56, August 2006

 ノロウイルスを検出するため、3つのウイルス濃縮方法;1)ポリエチレングリコール(PEG) + NaCl, 2)超遠心分離機(ultracentrifugation)及び3)限外濾過(ultrafiltration)を比較した。また、ホイップクリーム及びレタス(それぞれ乳製品と野菜の代表として)にイヌカリシウイルスを接種し、2つのRNA 抽出方法(TRIzol 及び RNeasy Mini Kit (Qiagen))によるウイルス検出能力を比較した。ホイップクリームからウイルスを検出するのにPEG-NaCl-TRIzol 法が最も効果的であり、一方、レタスから検出するのには超遠心分離-RNeasy-Mini Kit法が最適な方法であった。接種実験の結果、ノロウイルスによる胃腸炎アウトブレイクの原因となった食品は、特定の組成及びマトリックスにより、適したウイルス検査法を用いるべきであることが明らかになった。2002年オランダで発生した7件のノロウイルスによるアウトブレイクの原因食品と考えられた42検体の食品から、食品の素材及び原因となったウイルスに応じ、適した方法でノロウイルスの検出を試みたが、すべて陰性であった。これは、食品中のウイルス濃度が低すぎるか、不均一に汚染されていて、たまたま検査した部位にウイルスが少なかったのか、濃縮及び抽出過程でウイルス粒子を失ってしまったか、または阻害因子の存在がその原因と考えられた。各々の食品グループの組成に応じて、適した方法を用いる事が理想的であり、また阻害因子はこれらの手順においてコントロールすべきであるとしている。
[The Journal of Food Protection のご厚意により、要約翻訳を掲載します。]


国立医薬品食品衛生研究所安全情報部