定量的リアルタイム逆転写PCRと細胞培養による、ニュージーランド産ミドリイガイ (Perna canaliculus)中のA型肝炎ウイルスとノロウイルスに対する加熱処理効果の測定
Effect of Heat Treatment on Hepatitis A Virus and Norovirus in New Zealand Greenshell Mussels (Perna canaliculus) by Quantitative Real-Time Reverse Transcription PCR and Cell Culture
(要旨要訳:食品安全情報2006年20号(2006/09/27)収載)


Effect of Heat Treatment on Hepatitis A Virus and Norovirus in New Zealand Greenshell Mussels (Perna canaliculus) by Quantitative Real-Time Reverse Transcription PCR and Cell Culture
Pollard B, Guilford WG, Ankenbauer-Perkins KL, Hedderley D.
Journal of Food Protection, Vol. 69, No.9, p.2217-2223, 2006

 ニュージーランド産ミドリイガイ (Perna canaliculus)中のノロウイルスとA型肝炎ウイルス(HAV)に対する加熱処理の効果を、定量的リアルタイム逆転写PCR法(qRT-PCR法)と細胞培養法(50%組織培養感染価: 50% Tissue Culture Infectious Dose [TCID50])を用いて測定した。一般に、通常イガイは殻が開くまで加熱されるため、50個入りの6バッチについて煮沸処理(Boil)と蒸気処理(Steam)を行い、殻が開くまでの時間と内部温度を一定時間毎に計測した。煮沸処理では、170秒後に平均内部温度が90℃に達し(ウイルスの不活化には90℃90秒の維持が推奨されている)、210秒後に50個全ての殻が開いた。蒸気処理については、300秒後に平均内部温度が83℃であり、50個全ての殻が開いた。蒸気処理を180秒間行うと(平均内部温度63℃)、HAVのウイルス価が1.5-log有意に低下した(log TCID50)。沸騰している湯に180秒間浸漬した後(平均内部温度92℃)、生存しているHAVは検出されなかった。煮沸処理および蒸気処理を行った後、qRT-PCRによって測定したノロウイルスまたはHAVの力価に、対照と比べて有意な変化はみられなかった。加熱によって殻が開いた場合でも、その内部温度はウイルスの不活化に必要なパラメータに達しない場合があることが判明した。以上の結果から、汚染された貝類によるウイルス性食品由来疾患のリスクを低減させるためには、蒸気処理よりも沸騰している湯に最低3分間浸漬する方が推奨されるとしている。
[The Journal of Food Protection のご厚意により、要約翻訳を掲載します。]


国立医薬品食品衛生研究所安全情報部