（食品安全情報（微生物）2013年13号（2013/06/26）収載）
○背景
米国の西部および南西部の複数州でA型肝炎患者が約80人発生しており、主にブリティッシュコロンビア州およびアルバータ州に居住するカナダ人約1,200人が、これらのA型肝炎患者に関連している可能性がある製品をCostco社の米国西海岸複数州の店舗で購入したことが明らかになっている。当該製品はカナダ国内では販売されていない。
A型肝炎は、軽い症状が数週間続くものから重症の症状が数カ月間続くものまで症状がさまざまな肝疾患である。
当該製品は冷凍ベリー・ザクロ混合製品「Townsend Farms Organic Antioxidant Blend」で、カナダでは販売されていないが、米国のCostco社の店舗および「Harris Teeter Organic Antioxidant Berry Blend」の製品名でHarris Teeter社の店舗で販売された（後者に関連した患者は報告されていない）。製造業者であるTownsend Farms社（米国オレゴン州Fairview）は本製品の特定ロットを自主回収している。
米国内の店舗で回収対象製品を購入し既に喫食した場合は、かかりつけの医療機関でA型肝炎について相談し、A型肝炎ワクチンの接種が必要かどうか確認すべきである。
また、回収対象製品が自宅の冷凍庫に保存されている場合は、喫食せず購入店に返品するか廃棄すべきである。
○状況
カナダ公衆衛生局（PHAC）は、「Townsend Farms Organic Antioxidant Blend」および「Harris Teeter Organic Antioxidant Berry Blend」と関連している可能性がある米国複数州にわたるA型肝炎アウトブレイクについて報告を受けている。PHACは、カナダ国内で日常的にA型肝炎のモニタリングを行っているが、現時点では米国のアウトブレイク株と同じA型肝炎ウイルス株への感染者の報告を受けていない。現在の状況から判断すると、カナダ国内のカナダ人へのリスクは低いと考えられる。
2013年6月4日、Townsend Farms社は、調査の暫定結果にもとづいて特定のロットの冷凍Organic Antioxidant Blend製品の回収を開始した。
Costco社は、回収対象製品を米国の店舗で購入したカナダおよび米国の消費者に対し、汚染の可能性に関する通知を行った。
PHACは、カナダの各州および米国の公衆衛生・食品安全当局と協力し、本アウトブレイクに関連している可能性がある患者のモニタリングを続けていく。
（食品安全情報（微生物）本号US CDC、No.12 / 2013(2013.06.12) US FDA、US CDC 1記事参照）