(食品安全情報(微生物)2013年19号(2013/09/18)収載)
アイルランドでは、輸入冷凍ベリー製品の喫食に関連すると考えられるA型肝炎アウトブレイクにより、9月8日までに一次感染確定患者15人が特定されている。このため、アイルランド食品安全局(FSAI)は継続して調査を行っており、すべての輸入冷凍ベリー類は喫食前に1分以上煮沸するよう消費者に再度注意喚起を行った。
輸入冷凍ベリー製品を喫食前に1分以上煮沸すれば、仮にウイルスが含まれていても死滅するため、予防策として有効である。
本アウトブレイクは、アイルランドの複数のA型肝炎患者から、イタリアのアウトブレイクと同じウイルス株が検出された時点でその発生が認識された。複数の国から輸入された冷凍ミックスベリー製品の検体からイタリア当局がウイルスを検出していたため、アイルランドでも輸入冷凍ベリー製品を中心に調査を開始した。アウトブレイクと確認されてからも少数の新規患者が報告されており、新たな通知が発表されるまで輸入冷凍ベリー製品の煮沸を続けることが重要と考えられる。今までの調査によると、国産または輸入の生鮮ベリー類が感染源である可能性は低いと考えられる。しかし、他のあらゆる果物や野菜と同じく、生鮮ベリー類を非加熱で喫食する場合は事前に丁寧に洗うべきである。
様々な冷凍ベリー製品およびベリーが含まれる食品の検査が行われた。しかし、推定される汚染レベルが低いことと、正確な汚染バッチが特定されていないことから、本アウトブレイクの可能性の高い感染源のエビデンスを得るには、微生物学検査より追跡調査の方が適切であると考えられる。これまで13製品の検査を行ったが、いずれもA型肝炎ウイルス陰性であった。
(食品安全情報(微生物)2013年19号 HPSC Ireland、Eurosurveillance記事参照)