欧州疾病予防管理センター(ECDC)からのA型肝炎ウイルス(HAV)感染アウトブレイクに関する食品関連情報
http://www.ecdc.europa.eu/


北欧4カ国で発生しているA型肝炎アウトブレイク(2013年8月6日付更新情報)
Epidemiological update: outbreak of hepatitis A virus infection in four Nordic countries
06 Aug 2013
http://ecdc.europa.eu/en/press/news/Lists/News/ECDC_DispForm.aspx?List=32e43ee8%2De230%2D4424%2Da783%2D85742124029a&ID=964&RootFolder=%2Fen%2Fpress%2Fnews%2FLists%2FNews

(食品安全情報(微生物)2013年17号(2013/08/21)収載)
 2012年10月1日以降にデンマーク、フィンランド、ノルウェーおよびスウェーデンで発生しているA型肝炎アウトブレイクに関連して、2013年8月6日までに各国の公衆衛生機関から計106人の患者が報告されている。これらのうち64人は確定患者で、42人は高度疑い患者である。

 2013年4月15日の欧州疾病予防管理センター(ECDC)および欧州食品安全機関(EFSA)合同の迅速リスク評価で、本アウトブレイクの症例定義の見直しが行われた。現行の症例定義では、高度疑い患者を、デンマーク、フィンランド、ノルウェーおよびスウェーデンのいずれかの国の居住者で、発症日が2012年10月1日以降であり、発症前2〜6週間に西欧以外の地域への旅行歴がなく、A型肝炎ウイルス(HAV)感染の既知のリスク因子をもたない患者としている。また、確定患者は、高度疑い患者のうち、遺伝子型が1Bで、かつ本アウトブレイクで特定された密接に関連する2つの配列のうちの1つと同一の配列を有するHAV株に感染した者としている。

 報告患者数の国別内訳は、デンマークが68人(うち確定患者38人)、フィンランドが14人(同7人)、ノルウェーが7人(同6人)およびスウェーデンが17人(同13人)である。患者の年齢中央値は23歳(範囲は2〜76歳)で、61%(65人)が女性である。

 疫学調査で、対照と比較して症例患者の方が冷凍ベリーおよびイチゴを喫食していた可能性が高いことが判明し、またデンマークにおける購入歴調査で、北アフリカから輸入され北欧4カ国で販売された冷凍イチゴが感染源である可能性が最も高いことが示された。当初、冷凍ベリー類を喫食前に煮沸するよう北欧4カ国で注意喚起が発表され、その後2013年5月30日に、デンマーク、ノルウェーおよびスウェーデンの流通業者が当該製品の自主回収を開始した。

 報告患者の発症月別および国別の分布から、最近の数ヶ月間に報告患者数が大幅に減少したことが示されている(図)。本アウトブレイクの原因食品は保存可能期間が長いため、直近に発症した患者は家庭の冷凍庫で数カ月間保存した当該食品を汚染されていると知らずに喫食した可能性がある。

 ECDCは患者発生国の各当局と協力し、本件のモニタリングを継続している。4月15日付の迅速リスク評価で発表した推奨事項に変更はない。本件とは別に、食品由来HAVに関連した3件のアウトブレイクの調査がイタリアとアイルランド、エジプト旅行からの欧州への帰国者、および米国でそれぞれ行われている。現時点ではこれらのアウトブレイクが互いに関連することを示すエビデンスは存在しない。

図:北欧4カ国のA型肝炎アウトブレイクで報告された発症月および国別の患者数(2012年10月〜2013年7月、n=106)

(食品安全情報(微生物)No.9 / 2013( 2013.05.01) ECDC記事参照)


国立医薬品食品衛生研究所安全情報部