(食品安全情報(微生物)2013年17号(2013/08/21)収載)
米国疾病予防管理センター(US CDC)は、複数州の公衆衛生当局および米国食品医薬品局(US FDA)と協力し、複数州にわたり発生しているA型肝炎アウトブレイクを調査している。調査の主な更新情報は以下の通りである。
疫学調査
2013年8月16日時点で、冷凍ベリー・ザクロ混合製品(Townsend Farms Organic Antioxidant Blend)の喫食後にA型肝炎を発症した確定患者が10州から計159人報告されている(図)。ウィスコンシン州から報告された患者はカリフォルニア州で本製品に暴露し、ニューハンプシャー州から報告された患者はネバダ州への旅行中に暴露した。ニュージャージー州の患者はコロラド州の確定患者と家庭内で接触した。現在、家庭内で確定患者と接触した6人の感染が確認されている(二次感染患者)。
図:A型肝炎ウイルスアウトブレイク株の感染患者数(2013年8月16日までに報告された患者、n=159)
微生物学的調査
8州の患者計107人の臨床検体から、遺伝子型が1BであるA型肝炎ウイルス(HAV)アウトブレイク株が検出された。この8州はアリゾナ、カリフォルニア、コロラド、ハワイ、ニューハンプシャー、ニューメキシコ、ネバダおよびウィスコンシンである。この遺伝子型は南北アメリカ大陸ではあまり見られず、北アフリカおよび中東地域で流行している。
この遺伝子型は、冷凍ベリーに関連して欧州で発生している2013年のアウトブレイク、およびエジプト産ザクロ入り冷凍ベリーミックスに関連してカナダ(ブリティッシュ・コロンビア州)で発生した2012年のアウトブレイクで同定されている。しかし、現時点ではこれらのアウトブレイクと今回の米国のアウトブレイクとの関連を示すエビデンスはない。
(食品安全情報(微生物)No.16 / 2013(2013.08.07)、No.15 / 2013(2013.07.24) US CDC、No.14 / 2013(2013.07.10) US FDA、US CDC、No.13 / 2013(2013.06.26) US CDC、PHAC、No.12 / 2013(2013.06.12) US FDA、US CDC 記事参照)