(食品安全情報(微生物)2013年13号(2013/06/26)収載)
米国疾病予防管理センター(US CDC)は、複数州の公衆衛生当局および米国食品医薬品局(US FDA)と協力し、複数州にわたり発生しているA型肝炎アウトブレイクを調査している。調査の主な暫定結果は以下の通りである。
2013年6月20日以降、CDCは確定患者のみを報告しているが、残りの少数の患者についても調査を行っている。
図:A型肝炎ウイルスアウトブレイク株の感染患者数(2013年6月24日までに報告された患者、n=120)
各州および各地域の公衆衛生当局、FDAおよびCDCによる共同調査が継続されている。Costco社は、2013年2月下旬以降に当該製品を購入した会員に通知を行い、店頭から本製品を撤去した。当該製品は米国12州(アリゾナ、アラスカ、カリフォルニア、コロラド、ハワイ、アイダホ、モンタナ、ネバダ、ニューメキシコ、オレゴン、ユタ、ワシントン)で販売されたが、現時点でアラスカ、アイダホ、オレゴン、モンタナおよびワシントンの5州からは本アウトブレイクに関連する患者が報告されていない。ウィスコンシン州から患者1人が報告されたが、同州に当該製品は出荷されておらず、この患者はカリフォルニア州で暴露した。
FDAは、Townsend Farms社(オレゴン州Fairview)の加工施設の検査を行っている。また、ベリー類のA型肝炎ウイルス(HAV)検査プロトコルを作成し、アウトブレイクに関連した検体のHAV汚染を検査している。
6月3日、Townsend Farms社は、A型肝炎ウイルス汚染の可能性がある一部のロットの冷凍ベリー・ザクロ混合製品(Organic Antioxidant Blend)の回収を自主的に開始した。
6州の患者36人の臨床検体から、HAVアウトブレイク株は遺伝子型1Bであることが示された。この型は南北アメリカ大陸ではあまり見られないが、北アフリカおよび中東地域では流行している。
この遺伝子型は、冷凍ベリーに関連して欧州で発生した2013年のアウトブレイク、およびエジプト産ザクロ入り冷凍ベリーミックスに関連してカナダ(ブリティッシュ・コロンビア州)で発生した2012年のアウトブレイクでも同定されている。しかし、現時点ではこれらのアウトブレイクと今回の米国のアウトブレイクとの関連を示すエビデンスはない。
ラベル表示によると、当該製品には米国、アルゼンチン、チリおよびトルコが原産地の農産物が使用されている。
A型肝炎はヒトの疾患で、感染した食品取扱者が手指の適切な衛生管理を行わずに食品を調理することによって発生することが多い。しかし、HAVに汚染された食品によるアウトブレイクでは、食品の喫食者および取扱者双方で患者が発生する可能性があり、本アウトブレイクでも同様の疑いがもたれている。
(消費者への助言)
http://www.cdc.gov/hepatitis/Outbreaks/2013/A1b-03-31/advice-consumers.html
(食品安全情報(微生物)本号PHAC、No.12 / 2013(2013.06.12) US FDA、US CDC 1記事参照)