国連食糧農業機関(FAO)からの鳥インフルエンザA(H7N9)関連情報
http://www.fao.org/


鳥インフルエンザA(H7N9)ウイルスへの対応には強力なバイオセキュリティ対策が必要:FAOは中国およびその近隣諸国による鳥インフルエンザ検出と動物衛生管理を支援
Strong biosecurity measures required in response to influenza A(H7N9) virus
FAO supports China and neighbouring countries in disease detection and animal health management
5 April 2013
http://www.fao.org/news/story/en/item/173655/icode/

(食品安全情報2013年8号(2013/04/17)収載)

 国連食糧農業機関(FAO)は、中国での鳥インフルエンザA(H7N9)ウイルス感染患者の発生への対応には強力なバイオセキュリティ対策が必要であると発表した。高病原性鳥インフルエンザA(H5N1)ウイルスをはじめとする他のインフルエンザウイルス株と異なり、今回の新規ウイルスは、感染した動物で疾患の兆候がほとんど、もしくは全くみられないため、家禽での感染の検出が困難である。

 H5N1ウイルスの場合は多数の鶏が死亡するが、今回のウイルスでは、感染したことがすぐにわかるシグナルが鶏に見られない。このため、養鶏業者は、飼育している群内にウイルスが蔓延していても気づかない可能性がある。外見は健康そうな鳥や他の動物に蔓延しているウイルスから身を守るためには、バイオセキュリティ対策および衛生管理対策が有効である。

 この新規ウイルスについては調査中であり、FAOは、その間は今まで通り以下のような標準的な予防策をとることを推奨している。

  • 鳥類および家畜はすべて、人の居住区域とは別の区域で飼育する。感染した動物との密な接触はヒトへの感染リスクが高い。鳥類が鳥インフルエンザA(H7N9)ウイルスに感染していても疾患の兆候がほぼ(または全く)みられないため、動物と人の居住区域を分けることが重要である。

  • 野鳥を家禽や他の飼育動物に近づけないようにし、種類の異なる鳥類や動物は別々に飼育する。動物種ごとの飼育のためのスクリーン、フェンス、ネットなどの使用は、ウイルスの伝播の防止にも役立つ。

  • 発症または死亡した動物は、地域の動物衛生当局(もしくは公衆衛生当局)に届け出る。これが不可能な場合は、近隣住民または地域のリーダーに伝える。家禽、飼育鳥類、野鳥または他の動物に疾患の兆候または突然の原因不明の死亡があった場合は、すべて当局に報告することが重要である。これにより、当局はそのような動物を安全に取り扱い、ウイルスの拡散を阻止することができる。

  • ウイルスの不活化および除去のため、手洗いを励行する。鳥類または動物を取り扱った後、動物由来食品を加熱または調理した後、および食事の前には必ず手指を洗う。

  • 食肉製品は十分に加熱してから喫食する。

  • 発症または死亡した動物は喫食してはいけない。他の人への譲渡や販売もしてはならない。また、それらを他の動物に給餌してはいけない。

  • 家禽、飼育鳥類、野鳥またはその他の動物に接触した後に発熱した場合は、医師の診察を受ける。

  • 動物によるヒトへの脅威が確認された場合、人道的な方法での淘汰と相応の補償を行うことが適切な対応と考えられる。


国立医薬品食品衛生研究所安全情報部