世界保健機関(WHO)からのインフルエンザA(H1N1)関連情報
http://www.who.int/en/


飼育動物のパンデミックインフルエンザウイルスへの感染
Pandemic (H1N1) 2009 briefing note 15
Infection of farmed animals with the pandemic virus
5 NOVEMBER 2009
(食品安全情報2009年24号(2009/11/18)収載)

 WHO のインフルエンザサーベイランスネットワークに参加する検査機関による広範囲な検査によっても、現在までにH1N1 パンデミックウイルスがより病原性の強い型に変異した兆候は確認されていない。現在認可されている抗パンデミックワクチンは、流行中のウイルスに良く適合しており、十分な予防効果が期待できる。

ブタへの感染
 新型H1N1 パンデミックウイルスの出現以降、ブタ群への感染が数例報告されている。限られたエビデンスは、これらはヒト患者からブタへのウイルスの直接伝播により起きたものであることを示唆している。散発的に発生したこれらの感染事例は、ヒト−ヒト感染で感染拡大しているパンデミックウイルスの動向に影響を及ぼすものではない。ヒトにおける感染が拡大すると、ヒトからブタへのパンデミックウイルス伝播がより高頻度で起きる可能性がある。

その他の動物のインフルエンザ
 パンデミックH1N1 感染は、チリとカナダの七面鳥および米国の少数のペット動物でも報告されている。これらの感染もまた散発事例であり、ヒトの健康に特にリスクをもたらすものではない。
 パンデミックインフルエンザウイルスは通常の加熱調理の温度で死滅する。適切に調理された肉・動物由来製品またはその他の食品の喫食に関連したヒトの感染例は発生していない。
 別の懸念として、数カ国において高病原性H5N1 鳥インフルエンザウイルスが引き続き家禽に存在しており、このウイルスがこれらの国に定着している点がある。H5N1 ウイルスがパンデミックになるかどうかは予測できないが、現時点での全てのデータは心配するものではないことを示している。
 最近、デンマークの担当機関から数ヵ所のミンク飼育場のミンクから新型H3N2 インフルエンザウイルスが検出されたことが報告された。このウイルスにはヒトインフルエンザウイルスおよびブタインフルエンザウイルスの遺伝子が含まれることと、その組み合わせは今までに流行したインフルエンザウイルスには存在しなかったものであることが確認された。飼育場の作業者の検査では、ヒトへのこのウイルスの伝播は確認されなかった。この事例は、絶えず進化するインフルエンザウイルスの特性、予期せぬ変化の可能性、および動物に対する継続的な警戒の必要性を示している。

厳密なモニタリングの必要性
 これらの最近の知見から、動物およびヒトにおけるインフルエンザA ウイルスは、多様な宿主の間を循環する遺伝子のプールのように挙動する傾向が強まっており、ブタ以外の動物においても新型インフルエンザウイルスが発生する可能性があることが示唆される。このような状況から、厳密なモニタリングおよび公衆衛生機関と家畜保健衛生機関との間の緊密な協力の必要性がさらに高まっている。

http://www.who.int/csr/disease/swineflu/notes/briefing_20091105/en/index.html


国立医薬品食品衛生研究所安全情報部