米国農務省(USDA)からのインフルエンザA(H1N1)関連情報


H1N1インフルエンザウイルスに関するQ&A(2009年5月5日更新)
Frequently Asked Questions About H1N1
Updated: May 5, 2009, Last Modified: 05/05/2009
(食品安全情報2009年10号(2009/5/7)収載)

H1N1インフルエンザウイルスに関するQ and Aが掲載された。

Q. どのブタも今回ヒトに感染したウイルスを保有しているのか

  • 現時点で米国内のブタが今回のウイルス株に感染しているというエビデンスはない。

Q. このH1N1ウイルスはヒトからブタへ感染するか、ブタからヒトへは感染するか
  • 米国農務省(USDA: United States Department of Agriculture)の国立動物疾患センター(National Animal Disease Center)(アイオワ州、Ames)で、このH1N1ウイルスのブタへの伝達性とブタでの疾患の重篤度について調査が行われている。カナダ食品検査庁(CFIA: Canadian Food Inspection Agency)は、サーベイランスにより、アルバータ州のあるブタ群にH1N1ウイルスを検出したと最近発表した。CFIAは、ブタ群は最近メキシコから帰国してインフルエンザ様症状を呈していたカナダ人のウイルスに暴露した可能性が高いと考えている。ブタ群において疾患の徴候がこの暴露の後に起きていた。このカナダ人は回復しており、ブタ群も回復したか、もしくは回復に向かっている。このブタ群は検疫下にある。

  • USDAは米国のブタ群のモニターを続けており、現在までにこのH1N1ウイルス株は米国のブタでは検出されていない。

Q. 豚肉または豚肉製品の喫食によって今回のウイルス株に感染するか
  • しない。USDAの研究者によれば、H1N1インフルエンザは食品由来疾患ではなく、呼吸器系疾患である。USDAは食品安全について国民への広報活動を引き続き行い、適切に加熱調理すればすべての食品由来病原体は死滅するので、そのような豚肉や鶏肉製品の喫食は安全であることを消費者に再確認してもらう努力をしている。安全な食品取り扱いに関する詳細情報はwww.befoodsafe.govで得られる。

Q. 食品を適切に調理していることをどのように確認したらよいか
  • すべての豚肉、鶏肉について、安全な食品取り扱いおよび調理の方法を実行すること。適切に取り扱われ調理されれば、これらの肉の喫食は安全である。食品の安全な取り扱いおよび調理の方法についてはwww.befoodsafe.govで情報が得られる。

Q. ニュースで話題となっている今回のインフルエンザウイルスはどのようなものか
  • ブタ、鳥およびヒトのインフルエンザウイルス由来の遺伝物質が再集合したインフルエンザウイルスの新しい株である。

Q. USDAは、米国のブタが今回のウイルス株に感染していないことを確認するために検査やモニタリングを行っているか。行っている場合はどのような方法によってか。
  • 連邦政府の獣医師、州の動物衛生担当部局、および開業獣医師からなるネットワークが、重大な疾患の徴候について米国内のブタのモニタリングを定期的に行っている。
  • これまでのところ、現在ヒトに病気を起こしているH1N1インフルエンザウイルスが米国内のブタに蔓延しているという報告はない。
  • 予防策として、USDAは各州の動物衛生担当部局と連絡をとり、今回のウイルス株がそれぞれの州のブタに存在しないことを確認中である。
  • USDAは国内の豚肉生産者に安全確保のため警戒態勢をとるよう指示した。
  • 包括的な予防体制を担う一員として、USDAの各検査機関は進行中の作業計画を支援するために、日常的に臨床業務および研究業務を行っている。

Q. 米国のブタ群からH1N1インフルエンザウイルスが検出された場合、政府は国民にどのように発表するのか
  • USDAは事実にもとづいた情報を適宜発表することを最優先にしている。米国内のブタ群からH1N1インフルエンザウイルスが検出された場合には、国民に時機を逸することなく発表する。
  • 動物衛生上いかなる状況が発生しても、USDAの国立獣医学検査機関(National Veterinary Services Laboratories)は、疾患の制圧や撲滅計画の支援、診断検査薬の供給、研修の実施、検査機関の認定業務の準備ができている。

Q. ブタに近付くこと、またはブタに触ることで今回のウイルス株に感染するか
  • 米国疾病予防管理センター(CDC)は、今回のH1N1インフルエンザウイルスは次の2つの方法で拡散するとしている。
     1. 感染したブタ、またはウイルスに汚染された環境との接触。
     2. 感染したヒトとの接触。ヒト−ヒト感染は季節性のインフルエンザウイルスの場合と同じ方法で起こると考えられている。季節性のインフルエンザは、主に感染者の咳やくしゃみによるヒト−ヒト感染により広がると考えられている。

Q. 今回のウイルス株から米国のブタを守るための適切な対策を確実に行うにはどうしたらよいか
  • 民間の豚肉生産者には、これまでも行っているバイオセキュリティ対策を強化するよう推奨している。豚肉生産者は、他の農場と機械器具や車両の貸し借りを行うべきではない。外部から来たブタ群、例えば ”transitional herd”などを元の農場に戻してはならない。”transitional herd”とは、野生のブタと接触した可能性のあるブタ群を定義するために使用している用語である。
  • 農場への出入りは最低限必要な従事者や車両に限るべきである。ブタ飼育従事者は靴、作業服および手を消毒する。農場に出入りする車両や機械器具の洗浄と消毒を徹底し、これを行っていない他の家畜農場への訪問を避ける。
  • 発症した動物は直ちに報告する。業界関係者は、当該ウイルスの拡散を可能な限り早く予防することが豚肉生産業界にとって重要であることを理解している。

Q. この新型ウイルス株に対するヒト用のワクチンはあるか
  • ワクチンに関しては米国疾病予防管理センター(CDC: Centers for Disease Control and Prevention)に問い合わせてほしい。CDCによればヒトをこの新型H1N1インフルエンザウイルスから守るワクチンは現在存在しない。詳細情報はwww.cdc.govで得られる。

Q. ペットのブタに今回のウイルス株の感染の危険はあるか。ペットのブタから感染するか
  • 現時点で米国内のブタが今回のウイルス株を保有しているというエビデンスはない。
  • ペットのブタの所有者は、ブタでの豚インフルエンザの徴候を知るべきである。徴候としては、突然の発熱、活動の低下、咳(犬吠性咳)、鼻または目からの分泌物、くしゃみ、呼吸困難、目が赤くなること、または炎症、食欲不振などがある。ブタにこのような徴候が現れた場合には獣医師の診察を受けるべきである。
  • ペットの動物は信頼できる業者から購入し、その動物の履歴の書類を確認する。新しく購入したペットは獣医師に診察してもらう。
  • ブタとその周辺環境を清潔に保つ。他の動物に近付いた後は、靴や服などを洗浄する。ペットを扱う前後には、必ず石けんを使用して温水で20秒間手を洗う。

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国立医薬品食品衛生研究所安全情報部