カナダ食品検査庁(CFIA)からのインフルエンザA(H1N1)関連情報


H1N1インフルエンザウイルス(ヒト感染豚インフルエンザ)Q&A
H1N1 Flu Virus (Human Swine Influenza) Questions and Answers
Date modified: 2009-05-02
(食品安全情報2009年10号(2009/5/7)収載)

Q. 豚インフルエンザとは

     豚インフルエンザはブタの伝染性呼吸器疾患で、北米、南米、アジアおよびヨーロッパで多く見られる。原因病原体は、ヒトなどその他の動物にも疾患を起こすA型インフルエンザウイルスの一種である。
     ブタでインフルエンザウイルスは一般的に検出される。ブタはヒト、鳥や他のブタのインフルエンザウイルスに感染する。ブタからヒトへのインフルエンザの伝播はまれであり、通常、発症した動物との密接な接触により起こる。カナダ食品検査庁(CFIA)は、ヒトおよび動物に対する健康リスクを最小にするよう、十分な予防対策を取っている。どんなウイルス伝播をも防ぐために、あらゆる適切な対策をとる。
Q. H1N1インフルエンザウイルスはカナダのブタに感染しているか

     CFIAにより行われた予備的な検査からアルバータ州のブタ群においてH1N1インフルエンザウイルスの感染が確認された。詳細な検査が行われており、その間、CFIAはヒトおよび動物に対する健康リスクを最小にする予防対策を実施している。
Q. これらのブタはどのようにして感染したのか

     ブタ群は、最近メキシコから帰国してインフルエンザ様症状を呈していたカナダ人のウイルスに暴露した可能性が高い。ブタ群において疾患の徴候がこの暴露の後に起きていた。このカナダ人は回復しており、ブタ群も回復したか、もしくは回復に向かっている。
Q. このウイルスの拡散を防ぐためにどのような対策がとられているか

     このブタ群は検疫下におかれ、CFIAは公衆衛生機関と協力して、公衆衛生および動物衛生の確保を確実にするための最も適切な今後の対策を検討している。
Q. 他のブタに対してどのような検査が行われているか

     カナダのブタは、呼吸器系疾患に対する現行の全国通常検査においてインフルエンザウイルスが検査されている。CFIAは4月24日より、州、豚肉業界、および個人開業獣医師と協力し、ブタ群における疾患の徴候のモニタリングの強化と、全国の農場における強化されたバイオセキュリティ対策の維持とに努めている。またCFIAは公衆衛生機関と緊密に協力し、感染したヒトがブタと接触していた可能性がある他の事例を調査している。
食品安全

Q. H1N1インフルエンザウイルスにより豚肉製品にリスクは生じるか

     世界保健機関(WHO)および国連食料農業機関(FAO)によると、インフルエンザウイルスは豚肉の安全性に影響を与えない。どのような生肉についても同様であるが、種々の食品安全上の懸念の解消のために、豚肉は必ず適切に取り扱われ、加熱調理されるべきである。
Q. 輸入食品の取り扱いや喫食によってH1N1インフルエンザウイルスに感染するか

     インフルエンザは食品由来疾患ではないため、インフルエンザの発生が確認された地域から出荷された可能性がある食品(缶詰、包装済み製品、および生鮮品)を介した伝播の可能性は非常に低い。食品由来疾患への一般的な予防策として、食品を常に適切に取り扱い、適切に調理することが推奨される。
動物衛生

Q. ブタにおけるH1N1インフルエンザウイルス感染の症状は

    今回のH1N1インフルエンザウイルスのブタにおける感染症状に関してはモニタリングを継続している。ブタに通常見られるインフルエンザウイルス感染の症状は以下の通りである:発熱、食欲低下、体重減少、咳、くしゃみ、鼻汁、呼吸困難、繁殖力低下または流産。
バイオセキュリティ

Q.インフルエンザの可能性があるブタの診察時に獣医師がとるべき予防対策

     獣医師がインフルエンザ様疾患を呈したブタ群を診察する際には適切なバイオセキュリティ対策をとる必要がある。
CFIAは以下を推奨する:

    ・ 往診の計画、準備のため事前に生産者と連絡を取る
    ・ 指定された場所、もしくは可能な限り動物から離れた所に車を停める
    ・ 往診した農場を記載した日誌を保存する
    ・ 適切な防護装備を着用する:N95マスク、手袋、不浸透性のつなぎの作業服、防護服および防護靴、目の保護具
    ・ 動物を扱った後には手をよく洗う
    ・ 来訪時と同じように帰途につき、器具や車両を洗浄、消毒する
    ・ 防護装備を安全に廃棄する:農場に残して適切に廃棄してもらうか、脱着した後に「汚染物」用容器に入れて獣医師のオフィスまで運ぶ
    ・ 先にリスクの低い作業を行い、その後で懸念のある動物を診察する
    ・ 糞尿溜、飼料、飲料水との接触を避けるか最小限にする
     この疾患がどのようにブタに影響するかについての詳細情報が得られるまで、H1N1インフルエンザウイルス感染の疑いがあるブタ群を診察した場合には48時間は他のブタ農場を訪れないようにすること
Q. インフルエンザウイルスから動物を保護するために生産者ができること

     CFIAはブタ生産者に疾病予防原則の厳守を求めている
    ・ ブタとヒトとの接触を生産上必要最低限に制限する
    ・ 獣医師と相談の上でワクチン接種を行う
    ・ 農場従事者が良好な衛生状態を維持していることを確認する
    ・ 農場従事者が呼吸器系疾患にかかっていないことを確認する
    ・ 豚舎、用具、作業着、作業靴を適切に洗浄する
    ・ 豚舎の適切な換気を行う
    ・ 可能な限り迅速に疾患動物を確認して隔離する
動物に対するワクチン接種

Q. 豚インフルエンザワクチンに関するCFIAの役割

     CFIAは豚インフルエンザのワクチンや診断検査薬を始め、各種の動物用生物製剤を担当している。ブタ用に認可された市販ワクチンが数種存在する。ワクチンが認可されるためには、ラベル記載の方法で使用した際にワクチンとしての効果と安全性が示される必要がある。
Q. CFIAはブタ生産者にブタへのワクチン接種を推奨するか
     ブタ群にワクチンを接種するかの判断は事例毎に生産者と獣医師の相談により下されるべきである。しかしながら、現行のワクチンが今回のH1N1インフルエンザウイルスに対して効果があるかについては更なる調査が必要である。
貿易:輸出入

Q. カナダ産ブタおよび豚肉に対する貿易制限についてのカナダ政府の対応

     H1N1インフルエンザウイルスは食品安全上の懸念事項ではない。国際社会に不安ではなく事実にもとづいて判断するよう求めている。
     カナダの国際的な責務は、貿易相手国および輸入業者に対して、カナダ産豚肉および豚肉製品が安全であるという情報を提供することである。輸入禁止を検討している、もしくは既に実施している国に対しては、主要な関係機関や関係者に、情報にもとづいて判断し、カナダ産豚肉が安全であると認識してもらうよう説明を行っている。
Q. カナダに輸入されるブタに対する規制事項
     とさつ用のブタはいかなる伝染病にも感染していないことを確認する健康証明書が必要である。繁殖用のブタも健康証明書が必要で、検疫の対象となる。
Q. カナダから輸出されるブタに対する規制事項
     輸入国との合意にもとづき、輸出されるブタの健康をCFIAが証明する。通常、ブタは輸出前の少なくとも30日間、病気に罹患していないことが必要である。
http://www.inspection.gc.ca/english/anima/disemala/swigri/queste.shtml


国立医薬品食品衛生研究所安全情報部