カナダ食品検査庁(CFIA)からのインフルエンザA(H1N1)関連情報


H1N1インフルエンザウイルス(ヒト感染豚インフルエンザ):獣医師およびブタ生産者に対する助言
Swine Influenza - Advice for Veterinarians and Swine Producers
2009-04-26

 カナダ食品検査庁(CFIA)は、米国南部およびメキシコでヒトが豚インフルエンザ(swine flu)を発症したという報告を受けた。これまでの情報から、ウイルスのヒト−ヒト感染が示唆されている。
 現時点で、カナダ産のブタにおける豚インフルエンザやそれによる死亡の増加は確認されていない。しかしCFIAは予防措置として、ブタ生産者、獣医師および検査機関に対して、より注意深く豚の疾患を監視し報告するよう呼びかけている。ブタの豚インフルエンザ疑い症例については、獣医師、州当局、もしくはCFIAに報告すべきとしている。同様に、重篤なインフルエンザ様症状のある人は医療従事者に相談するようカナダ公衆衛生局(PHAC)は呼びかけている。

豚インフルエンザの概要

    豚インフルエンザはブタの伝染性呼吸器疾患で、北米、南米、アジアおよびヨーロッパで多く見られる。原因病原体は、ヒトなどその他の動物にも見られるA型インフルエンザウイルスの一種である。

豚インフルエンザのヒトでの発症
    豚インフルエンザはヒトでも発症するが、通常はまれである。ヒトの発症例のほとんどは、農場従事者や獣医師など、ブタと密接な接触があった者である。ウイルスのヒト−ヒト感染による発症例も数件報告されている。ヒトにおける豚インフルエンザの症状は通常のインフルエンザの症状と類似しており、咳、悪心、体の痛み、倦怠感、鼻水・鼻づまりなどである。ヒトでの発症のリスクは低いが、ブタまたはウイルスに汚染された可能性のある設備と接触する人は、手指の洗浄を十分に行い、感染の可能性のあるブタとの接触を制限すべきである。豚、鳥およびヒトのインフルエンザウイルスがブタの細胞内で混合し、新型インフルエンザウイルスが発生する可能性がある。ブタもしくはブタと接触した可能性のあるヒトにインフルエンザ様症状が認められた場合は、動物衛生または公衆衛生の専門家に報告すべきである。これにより保健当局は動物およびヒトの集団内で流行するウイルスについて常に新しい情報を得ることができる。

ブタにおける症状
    ブタに現れる症状は以下の通り:発熱、食欲低下、体重減少、咳、くしゃみ、鼻汁、呼吸困難、繁殖力低下または流産。豚インフルエンザは一般的に致死的ではなく、発症した豚は通常5〜7日以内に回復する。

ブタへのウイルスの感染
    通常、感染ブタが他のブタの至近距離で咳またはくしゃみをした時にウイルスは広まる。汚染された設備やその他の物体もウイルスの伝播の一因となる。ブタは鳥およびヒトのインフルエンザウイルスにも感染する。

豚インフルエンザの予防
    豚インフルエンザは以下の対策で予防できる可能性がある:ワクチン接種、農場の良好な衛生の確保、徹底的なバイオセキュリティの実施、豚舎の適切な換気、発症豚の迅速な特定と隔離。

獣医師とブタ生産者の役割
    獣医師は豚インフルエンザの発生と拡大を抑制するために、対策の策定を生産者と緊密に協力して行うべきである。この取り組みの過程において、インフルエンザに感染した獣医師はブタとの接触を制限すべきで、農場従事者も同様である。現状では、農場への訪問者、特に最近米国南部またはメキシコから帰国した可能性のある訪問者に対する特別な警戒が必要である。

豚インフルエンザの食品安全への影響
    豚インフルエンザの食品安全上の問題はない。

http://www.inspection.gc.ca/english/anima/disemala/swigri/swigrifse.shtml


国立医薬品食品衛生研究所安全情報部