(食品安全情報2014年22号(2014/10/29)収載)
国際獣疫事務局(OIE)はエボラウイルス感染症(EVD)に関する技術情報シートを作成し、OIEグローバルリファレンスセンターおよび野生動物作業部会の専門家などの国際的科学者がそのレビューを行った。その後、動物疾患に関するOIEの科学委員会がこれを承認した。
EVDはエボラ出血熱としても知られ、ヒトおよびヒト以外の霊長類(ゴリラ、チンパンジーなど)が罹患し重篤な症状を呈する感染症である。主にアフリカの中部・西部で発生し、感染した動物またはヒトからヒトに伝播する。
西アフリカで発生している今回のアウトブレイクの原因ウイルス株は前例のない数の死亡者をもたらしているが、初発患者の感染源はよくわかっていない。しかし、感染源としての何らかの野生動物から1人の人間への感染がヒトへの最初の伝播であった可能性が高い。現在、EVDはヒトとヒトとの間で伝播を繰り返しており、ウイルスの拡散に動物が依然としてなんらかの役割を演じているエビデンスは存在しない。
野外調査および疫学調査によると、本ウイルスの自然宿主はオオコウモリ(fruit bat)である可能性がある[編者注:世界保健機関(WHO)はさらに他の動物の可能性も記載している]。オオコウモリ自体は症状を呈さない。しかしこれらの結果はさらに詳細な調査が必要である。
EVDは、はじめにコウモリやヒト以外の霊長類からヒトに感染する場合が多く、感染経路は、狩猟、発症または死亡した野生動物の収集、非加熱の野生動物の肉(bush meat)の取扱いまたは喫食と考えられる。農村地域では森の肉(forest meat)としてオオコウモリが広く食用にされ、人の手で乾燥・燻製・加熱などの処理が行われる。また流行地域ではコウモリの唾液や糞便に汚染された果物の取扱いまたは喫食によってヒトが感染する可能性もある。
以上のことからOIEの推奨事項は、発生地域ではコウモリ、サル、げっ歯類などの野生動物との接触を避けるという世界保健機関(WHO)の推奨事項と完全に一致している。
○エボラウイルス感染症に関する技術情報シート
Technical information sheet on Ebola virus disease
http://www.oie.int/fileadmin/Home/fr/Media_Center/docs/pdf/Ebola_fact_sheet_EN_Final.pdf
(食品安全情報(微生物)2014年22号 WHO、FSAI記事参照)