(食品安全情報2011年12号(2011/6/15)収載)
2011年6月10日、ロベルト・コッホ研究所(RKI)、ドイツ連邦リスクアセスメント研究所(BfR)、ドイツ消費者保護および食品安全庁(BVL)は共同声明を発表し、疫学調査およびフードチェーンの追跡調査の結果、豆および種子のスプラウト(フェヌグリーク(fenugreek), 緑豆(mung beans)、レンズマメ(lentils)、アズキ、アルファルファなど)がドイツで発生している腸管出血性大腸菌(EHEC)感染アウトブレイクの媒介食品であるとした。このアウトブレイクの病因物質は、稀な大腸菌(EAggEC VTEC)O104:H4である。アウトブレイクは今も主にドイツで継続している。
当局は以下のことを推奨している。
溶血性尿毒症症候群(HUS)
2011年6月13日、中央ヨーロッパ標準時15時現在、ドイツからHUS患者782人(うち死亡者22人)が報告されており、前日よりHUS患者が1人増加した。患者の68%が女性、88%が20歳以上の成人であり、人口100,000人当たりの発生率は20〜49歳が最も高い。HUS患者の発症日は5月1日〜6月8日である。
EHEC
6月13日、中央ヨーロッパ標準時15時現在、ドイツから(HUSを発症していない)EHEC感染患者2,453人(死亡者13人)が報告されており、前日より患者が6人、死亡者が1人増加した。患者の59%が女性で、87%が20歳以上である。EHEC感染患者の発症日は5月1日〜6月9日である。
6月14日、RKIは、HUSおよびEHECの新規報告数が過去約1週間大幅に減少していると発表した。出血性下痢症で病院の救急部に来院した患者のデータは、新規患者の絶対数および相対数のどちらも5月30日以降減少していることを示している。この減少が感染源に関する注意喚起や生野菜の喫食行動の変化に起因するものかは未だ不明である。
他国の状況
6月13日現在、他の欧州13カ国から合計でHUS患者36人(死亡者1人)およびEHEC感染患者66人(死亡者なし)が報告されている。また、米国でも、米国疾病予防管理センター(US CDC)がこのアウトブレイクに関連するHUS患者3人(確定1人、疑い2人)とEHEC疑い患者2人に関する情報を発表した。カナダ公衆衛生局(PHAC)は2011年6月7日、ドイツ北部への旅行やドイツの患者との関連が確認されている大腸菌O104感染疑い患者1人(HUS発症無し)を報告した。
上記のHUSおよびEHEC患者は5人を除きすべてが、感染の潜伏期間(通常、暴露後3〜4日、範囲:2〜10日)内にドイツを旅行するか在住していた。