米国疾病予防管理センター(US CDC)からの大腸菌O104関連情報
http://www.cdc.gov/


ドイツへの旅行に関連した志賀毒素産生性大腸菌(STEC)O104:H4感染アウトブレイク(2011年7月8日更新情報)
Investigation Update: Outbreak of Shiga toxin-producing E. coli O104 (STEC O104:H4) Infections Associated with Travel to Germany
July 8, 2011
http://www.cdc.gov/ecoli/2011/ecoliO104/

(食品安全情報2011年14号(2011/7/13)収載)

 米国疾病予防管理センター(US CDC)は、ドイツで発生中の志賀毒素産生性大腸菌(STEC)O104:H4感染の大規模アウトブレイクをモニターしている(食品安全情報(微生物)No.13/2011 (2011.06.29) US CDC記事参照)。このアウトブレイクの原因菌は腸管凝集性大腸菌(EAEC)の病原性の特徴も持っている。2011年7月5日時点で、ドイツのロベルト・コッホ研究所(RKI)で確認された溶血性尿毒症症候群(HUS)の患者は852人、HUS関連の死亡者は32人である。

 米国では、STEC O104:H4感染の確定患者が6人確認されている。このうち5人は最近ドイツに旅行していたことから、そこで暴露した可能性が高い。アリゾナ、マサチューセッツ、ミシガンおよびウィスコンシン各州のHUS患者計4人と、ミシガンおよびノースカロライナ州の下痢患者2人から分離された株は、すべてドイツのアウトブレイク株と同一であることが確認された。発症前にドイツに旅行していたアリゾナ州在住のHUS患者1人の死亡が報告された。ミシガン州の下痢患者はドイツへの旅行歴はなく、同州在住のHUS患者との密接な接触によって感染した可能性が高い。

 2011年6月24日、フランスから、ボルドーで開催された行事への参加者の大腸菌O104:H4感染のクラスターが報告された。参加者は、行事で提供されたスプラウトの喫食を報告した。当該スプラウトは、行事の主催者が地元で購入した種子から個人的に少量栽培したものであった。

 欧州食品安全機関(EFSA)は、ドイツおよびフランスの2件のアウトブレイクの感染源を特定するための広範な調査を開始し、2011年7月5日にその調査結果を発表した。両アウトブレイクの調査で得られた情報を比較した結果、エジプトのある輸出業者に由来するフェヌグリーク種子1ロットが、両アウトブレイクに関連したスプラウトの汚染源である可能性が最も高いことが確認された。汚染物質が少量でも重大な健康影響を及ぼす可能性があること、および汚染源、汚染経路、交差汚染の可能性に関する情報が不十分であることをふまえ、当該輸出業者から出荷されたフェヌグリーク種子の全ロットを感染源の疑いがあると見なすべきである。


国立医薬品食品衛生研究所安全情報部