米国疾病予防管理センター(US CDC)からの大腸菌O104関連情報
http://www.cdc.gov/


ドイツへの旅行に関連した志賀毒素産生性大腸菌O104:H4感染アウトブレイク(2011年6月23日更新情報)
Investigation Update: Outbreak of Shiga toxin-producing E. coli O104(STEC O104:H4) Infections Associated with Travel to Germany
Updated June 23, 2011
http://www.cdc.gov/ecoli/2011/ecoliO104/archive/062311.html

(食品安全情報2011年13号(2011/6/29)収載)

 米国疾病予防管理センター(US CDC)は、ドイツで発生中の志賀毒素産生性大腸菌(STEC)O104:H4感染の大規模アウトブレイクを注視している。このアウトブレイクの原因菌は腸管凝集性大腸菌(EAEC)の病原性の特徴も持っている。2011年6月9日時点で、ドイツのロベルト・コッホ研究所で確認された溶血性尿毒症症候群(HUS)の患者数は759人、HUS関連死亡者数は21人である。

 米国では、STEC O104:H4感染の確定患者1人と疑い患者4人が確認されており、この5人のうち4人は最近ドイツのハンブルクを訪れていたことから、そこで暴露した可能性が高い。マサチューセッツ州のHUS患者1人から分離された株は、ドイツのアウトブレイク株と同一であることが確認された。疑い患者4人のうち、ミシガン州とウィスコンシン州の患者2人がHUSを発症している。調査中の残りの2人のうち、1人は志賀毒素陽性の下痢患者である。残りの1人はミシガン州のHUS患者の家族であり、ドイツへの旅行歴はないが、発症した家族との接触で感染した後に下痢症状を発症したと考えられる。

 CDCは各州の公衆衛生当局にこのアウトブレイクについて通知し、2011年4月1日以降にドイツを訪問中または訪問後に発症したHUS患者または志賀毒素産生性大腸菌陽性の下痢患者について、情報提供を要請した。また、疑い患者に関する情報と、詳細な検査用の患者由来株の入手のため、各州の衛生当局と協力している。

 世界保健機関(WHO)の報告によると、ロベルト・コッホ研究所(RKI)およびドイツ食品安全・消費者保護庁が、ニーダーザクセン州にある1カ所の農場の生鮮スプラウトが原因であるとする疫学調査と追跡調査のエビデンスがあると発表した。ドイツの公衆衛生当局は、現時点において、生産地に限らず生のスプラウトの喫食を避けるよう推奨している。フードチェーンの追跡調査の結果からは、ニーダーザクセン州の当該農場の生鮮スプラウトやその他の品目がドイツ国外に輸出されていることを示す情報はない。ドイツへの旅行者は、ドイツ北部でキュウリ、トマトおよび葉物サラダを喫食すべきでないとした助言が2011年6月10日に解除されたことに留意すべきである。

 大腸菌O104:H4感染はまれではあるが、これまでにも確認されたことがある。たとえば、2009年にグルジア共和国で下痢症患者集団のうち2人の検体から、今回のアウトブレイク株に似た大腸菌O104:H4が培養によって検出された。この株は志賀毒素を産生したが、分子フィンガープリントは今回のアウトブレイク株と異なっていた。グルジア共和国では明確なアウトブレイクは確認されず、感染源の食品も特定されなかった。


国立医薬品食品衛生研究所安全情報部