ドイツ連邦リスクアセスメント研究所(BfR)からの大腸菌O104関連情報
http://www.bfr.bund.de/en/home.html


喫食に関する現行の推奨事項を裏付ける新しい疫学データ:ドイツ連邦リスクアセスメント研究所(BfR)とロベルト・コッホ研究所(RKI)との共同プレスリリース
New epidemiological data corroborate existing recommendation on consumption by BfR
Joint Press Release of the Robert Koch Institute (RKI) and the Federal Institute for Risk Assessment (BfR)
14/2011, 03.06.2011
http://www.bfr.bund.de/en/press_information/2011/14/new_epidemiological_data_corroborate_existing_recommenda_tion_on_consumption_by_bfr-70745.html

(食品安全情報2011年12号(2011/6/15)収載)

 ドイツ連邦リスクアセスメント研究所(BfR:Federal Institute for Risk Assessment)は、念のため、生のトマト、キュウリおよびサラダの喫食を避けるよう引き続き推奨している。この推奨事項は、特にドイツ北部で市販されている製品を対象としており、ロベルト・コッホ研究所(RKI:Robert Koch Institute)による2件の新しい疫学調査の結果で確認されている。ドイツ国内で人口10万人当たりの溶血性尿毒症症候群(HUS:haemolytic uraemic syndrome)の患者数が多い州は、ハンブルク(5.5)、シュレースビッヒ・ホルシュタイン(Schleswig-Holstein)(5.1)、ブレーメン(3.3)、およびメクレンブルク・フォアポメルン(Mecklenburg-Vorpommern)(1.8)であった。その他の州の患者については、その大多数にドイツ北部との関連が認められた。

 RKIは、腸管出血性大腸菌(EHEC:enterohaemorrhagic Escherichia coli)/HUSアウトブレイクに関する調査として、症例対照研究、オンラインでの問い合わせ、個々の特異なアウトブレイクの追跡などの詳細な疫学調査を実施している(Epidemiological Bulletin 22/2011参照)。現在、これらの調査のうち2件について最初の結果が得られている。

 症例対照研究では、2011年5月29日〜6月2日にブレーメン、ハンブルクおよびリューベックで男女合わせて46人のHUSまたはEHEC症例患者に質問を行い、食品喫食歴に関する詳細な情報を得た。この中には、ハンブルクで実施され5月25日に既に結果が公表済みの別の調査には含まれていなかった食品も含まれた。これらの結果を、性別、年齢グループおよび居住地域が一致する健康な対照2,100人の結果と比較した。症例の84%がサラダを喫食していたのに対し、健康な対照では47%のみであった。同様に、キュウリの喫食歴は症例75 % vs.対照50 %、トマトでは症例80 % vs.対照63 %であった。全症例の95%が3種類の野菜のうち最低1種類を喫食していた。これらのデータを統計学的に計算した結果、生のトマト・キュウリ・サラダの喫食とHUS発症との有意な関連が継続して示された。

 フランクフルト保健局(Frankfurt Health Office)および民間企業の検査・調査部門(Hessian Land Testing and Investigation Office for the Health Care Sector in a company)の共同調査において、食堂でサラダを喫食した従業員の出血性下痢の頻度が、喫食しなかった従業員の約7倍であったという結果が示された。調査したその他の食品では、このような関連は示されなかった。

 異なる手法を用いた2件の独立した調査結果は、5月26日に発表された最初の症例対照研究の結果を支持している。したがって疫学的観点からは、ドイツ北部由来のサラダ・トマト・キュウリの喫食が、依然として相対的に発症リスクが最も高いと言える。疫学調査および食品調査により新しい情報が提供されるか、もしくは感染源が特定されるか新規患者がいなくなるまで、喫食に関するBfRの推奨事項は継続して適用される。

 2011年5月以降、出血性下痢およびHUS患者数が増加している。2011年5月初めから6月2日午後3時までにRKIに報告されたHUS 患者は計520人で、そのうち11人が死亡している。同時期にRKIに報告されたEHEC感染患者は1,213人で、6人が死亡した。

 HUSは、特定の条件下では致命的となる重度の合併症であり、腸管出血性大腸菌(EHEC)と呼ばれる細菌による腸管感染症に関連して発症する可能性がある。RKIには、年間約1,000人のEHEC患者が報告されている。HUSの全体的な臨床像は、急性腎不全、赤血球破壊による貧血および血小板減少を特徴とする。2010年にはHUSによる2人の死亡者がRKIに報告された。


国立医薬品食品衛生研究所安全情報部