ドイツ連邦リスクアセスメント研究所(BfR)からの大腸菌O104関連情報
http://www.bfr.bund.de/en/home.html


フェヌグリーク(fenugreek)種子の食品への使用に関するQ & A
Questions and answers concerning the use of fenugreek seeds in foods
22 July 2011
http://www.bfr.bund.de/en/questions_and_answers_concerning_the_use_of_fenugreek_seeds_in_foods-96049.html

(食品安全情報2011年15号(2011/7/27)収載)

 2011年5〜6月にドイツで発生した腸管出血性大腸菌(EHEC)O104:H4アウトブレイクでは、エジプトから輸入されたフェヌグリーク(fenugreek)種子がEHEC O104:H4に汚染されており、ニーダーザクセン州(ドイツ)のある園芸農場がこの種子を用いてスプラウトを栽培し、このスプラウトが感染源となった可能性が高い。このスプラウトの喫食によって患者が発生し、さらにヒト−ヒト感染による二次感染者も発生している。

 フェヌグリーク種子はスプラウト栽培だけでなく、サプリメント等の他の食品にも使用されていることから、ドイツ連邦リスクアセスメント研究所(BfR)は、これに関するQ & Aを作成した。

フェヌグリーク種子はスプラウト以外の食品にも含まれているか?
 フェヌグリーク種子は、カレー粉のスパイスミックス、チーズやマスタード製品、母乳ティー(母乳の分泌を促す効果のあるハーブティー)、サプリメントなど様々な製品に使用されている。また、焼き菓子やパンの調味料(seasoning)にも使用されている。これまで、スプラウト以外にはフェヌグリーク種子由来の製品によるEHEC感染患者の報告はない。

どうすれば食品にフェヌグリーク種子が含まれているかがわかるか?
 フェヌグリーク種子を含むチーズでは、包装に表示されていることが多く、またバルクで販売されているチーズの場合はカウンターの値札等に表示されている。フェヌグリーク種子が含まれているチーズ中では小さい茶色の種子が見られることもある。スパイスブレンド、マスタード、ティー、サプリメントでは、包装の表示、特に原材料表示からわかる可能性がある。食品によってはフェヌグリーク種子がそのままではなく粉または抽出物として使用されている。

フェヌグリーク種子がエジプト産かどうか知ることはできるか?
 フェヌグリーク種子は世界中で取引されており、ドイツにはいくつかの国から輸入されている。たとえば2010年には主にインドから輸入されていた。通常、消費者が種子の原産国を知ることはできない。

EHECはフェヌグリーク種子の内部にも存在するか?
 実験からは、一部のEHECが根を通って植物の内部に侵入する場合があることが知られている。アルファルファの場合、植物内部に菌が存在することがすでに確認されている。フェヌグリーク種子については現時点でまだ明らかになっていない。喫食前に種子に完全に火を通せば、感染のリスクはない。

フェヌグリーク種子はどのような条件下であればチーズに加えてもよいか?
 ナッツの風味を出すためにセミハードチーズにフェヌグリーク種子を加える場合がある。フェヌグリーク種子には苦味があるため、通常はチーズに加える前に加熱する。BfRによると、熱湯や水蒸気による加熱処理により種子の中心部が72℃以上に達した状態で少なくとも2分間以上加熱されていない場合、感染リスクの可能性がある。約70℃の乾燥加熱処理によって同等の低減効果を得るためには、処理時間を数時間に延長する必要がある。

EHECを死滅させるにはフェヌグリーク種子を含むティーをどのように入れればよいか?
 他のハーブティーと同じく、フェヌグリーク種子を含むティーバッグは沸騰させた熱湯に5分間以上浸して浸出させる。BfRによると、原則としてハーブティーの抽出に給湯機のお湯を使用することは適切でない。

念のためフェヌグリーク種子は廃棄すべきか?
 喫食前に完全に火を通せば(鍋でロースト、加熱調理など)、フェヌグリーク種子を廃棄する必要はない。水分を含む食品中のEHECを死滅させるには、食品内部が72℃以上に達した状態で2分間以上加熱する必要がある。乾燥状態で種子を加熱する場合、種子に付いているEHECを死滅させるには、これよりはるかに高温での加熱(鍋でローストするなど)または数時間の加熱が必要である。

フェヌグリーク種子入りのカレー粉や自家製スパイスはどうすれば良いか?
 フェヌグリーク種子は、主にカレー粉などのスパイスブレンドに挽いた状態で用いられる。特にインドカレー用スパイスブレンドの一般的な成分である。スパイスの製造過程では、菌を減少させるために熱湯や水蒸気処理などの加熱処理が行われるが、これはEHECに対しても有効である。自家製のスパイスブレンドの場合、フェヌグリーク種子に完全に火を通せば安全である(鍋でロースト、加熱調理など)。加熱が不十分な場合には、念のためスパイスブレンドは廃棄すべきである。

フェヌグリーク種子を含むサプリメントはEHECが死滅するような方法で製造されているか?
 フェヌグリーク種子にはサプリメントとしていくつかプラスの効果があるとされ、サプリメントに加工されている。いくつものサプリメント製造業者がさまざまな条件下で加工を行っているため、BfRはサプリメント中のEHECの生残に関して一般的な回答を示すことはできない。


国立医薬品食品衛生研究所安全情報部