香港食品安全センター(CFS, Hong Kong)からの新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)関連情報
https://www.cfs.gov.hk/english/index.html


新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の予防に関する食品安全上の助言およびFAQ
Food Safety Advice on Prevention of Novel Coronavirus and FAQs
Tuesday, February 4, 2020
https://www.cfs.gov.hk/english/whatsnew/files/Food_Safety_Advice_on_Prevention_of_Novel_Coronavirus_20200204_4.pdf

(食品安全情報2020年4号(2020/02/19)収載)


 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)について世界保健機関(WHO)が発表した衛生・食品安全上の助言にもとづき、香港食品安全センター(CFS, Hong Kong)は、一般向けに以下の通り注意喚起を行っている。

  • 手指を常に清潔に保ち、生の食品の取り扱い後、トイレの使用後および食事の前は特に清潔にする。手指を洗浄する際は、液体石鹸をつけて両手を少なくとも20秒こすり合わせるようにする。
  • 生の食品と加熱済み食品とは分けて取り扱い、食品の交差汚染を避けるため、生の食肉や内臓などを取り扱う際は特に注意が必要である。
  • 食品の加熱処理は十分に行い、生または加熱不十分の動物由来製品の喫食は避ける。
  • 国外を旅行する際は、動物(狩猟動物を含む)や家禽およびそれらの排泄物との接触、生鮮市場および生きた家禽類を取り扱う市場や農場への訪問、ならびに狩猟動物肉の喫食やそれらを提供するレストランへの訪問を避ける。狩猟動物肉、食肉、家禽肉、卵などを違法に香港に持ち込まないこと。
よくある質問とその回答(FAQ)

1. 新型コロナウイルスは食品を介して伝播し得るか?
 現時点で得られている科学的知見によると、食品を介してヒトが新型コロナウイルスに感染し得ることを示すエビデンスは存在しない。ドイツ、オーストラリア、ニュージーランドなど諸外国の食品安全性評価機関は、新型コロナウイルスが食品を介してヒトに伝播し得る可能性は低いと判断している。しかし、食品の安全性を確保するため、WHOによる助言に従い、生の食品の取り扱い後は加熱済み食品を取り扱う前に手指を洗浄する、食品の加熱処理は十分に行う、生の食肉や動物の組織などは加熱済み食品とは分けておく、などの個人で行える食品・環境衛生対策を一般国民が常に実践すべきである。
 新型病原体(Novel Infectious Agent)による重度呼吸器疾患(Severe Respiratory Disease)についての詳細な健康関連情報および助言は、香港衛生防護センター(Centre for Health Protection)の以下のWebページから入手可能である。
https://www.chp.gov.hk/en/features/102465.html

2. ヒトは食品パッケージを受け取ることで新型コロナウイルスに感染するか?
 WHOは、その他のコロナウイルスについて得られている知見から、新型コロナウイルスは物体の表面では長期間生残できないと述べている。したがって、食品パッケージの受け取りを介して新型コロナウイルスに感染する可能性は低い。新型コロナウイルスは主に呼吸飛沫を介して伝播する。輸入製品に関連した新型コロナウイルスの伝播を裏付けるエビデンスは存在しない。米国疾病予防管理センター(US CDC)も同様の見解を示している。接触伝播を防ぐため、特に食品の喫食・取り扱い前や目・鼻・口を触る前には手指を洗浄するなど、手指の適切な衛生慣行を各個人が実践すべきである。

3. 食品が十分に加熱されたことをどのように確認するか?
〇料理用温度計を使用し、食品の中心温度が75℃に達していることを確認することが望ましい。料理用温度計を使用する場合、以下の点に注意すべきである。

  • 食肉の場合は最も厚い部分の中心温度を計測する。
  • 骨や容器側面には接触させない。
  • 計測のたびに温度計を洗浄する。
〇料理用温度計がない場合は、全体が熱々に加熱されるまでしっかりと加熱または再加熱し、以下の点を確認する。
  • 食肉および家禽肉の場合、加熱した肉をカットした際に血液が見えず、肉汁が透明で赤くないこと。
  • 卵黄の場合は半熟または液状でないこと。
  • スープおよびシチューの場合、沸騰した状態を1分以上維持すること。
〇電子レンジを使用する場合には、全体を確実に加熱するため、加熱途中で食品の中身をかき混ぜたり、回転させたり、カバーをかけて加熱する。
〇冷凍食品については、電子レンジでの解凍、冷蔵庫内での自然解凍、または流水解凍を調理前に行い、十分に加熱する。

4. 家禽肉および卵の取り扱い時にはどのようなことに注意すべきか?

  • 生きた鶏を購入する際は、鶏やその糞便への接触を避け、肛門から息を吹き込まない。
  • 生きた家禽、家禽肉製品および卵を取り扱った後は、液体石鹸で十分に手指を洗浄する。
  • 家禽肉製品や卵の取り扱い時に使用した作業台表面、器具および設備はすべて十分に洗浄する。
  • 生の食品とready-to-eat(そのまま喫食可能な)食品とでは取り扱い時に別のナイフおよびまな板を使用する。
  • 生の家禽肉はきちんと蓋ができる容器に入れ、冷蔵庫の下段で保存する。ready-to-eat食品および加熱済み食品は、交差汚染を避けるため冷蔵庫の上段で保存する。
  • 卵は糞便や汚れが付いている場合のみ洗浄し、洗浄した卵は速やかに喫食する。
  • 殻にひびが入った卵は汚染されやすいため喫食を避ける。
  • 加熱用でない食品には生または加熱不十分の卵は使用しない。
  • 生卵の喫食は避け、生卵を使用したミックスソースに加熱済み食品を浸さない。卵は卵黄と卵白が固まるまで十分に加熱する。
  • 家禽肉は喫食前に十分に加熱する。加熱した家禽肉からピンク色の肉汁が流れ出ている場合、または骨の中間部分がまだ赤みを帯びている場合は、そのような状態ではなくなるまで十分に再加熱する。
5. どのような場合に手指を洗浄すべきか?
〇以下の場合は必ず手指の衛生管理と十分な洗浄を行うべきである。
  • 食品を取り扱う前
  • 食事の前
  • 目、鼻および口に触れる前と触れた後
  • トイレを使用した後
  • 生の食品を取り扱った後
  • 耳、髪、口またはその他の体の部位に触れた後
  • 咳やくしゃみをした後
  • 汚れた設備や器具、廃棄物などを取り扱った後
〇手指を洗浄する際は、

 (1) 流水で手指を濡らす。
 (2) 液体石鹸を使用する。
 (3) 前腕部、手首、手のひら、手の甲、指および爪の内側を含め、両手を20秒以上しっかりとこする。
 (4) すすぎを十分に行う。
 (5) ペーパータオルで水分を拭き取る。
 (6) 水を止める際は、必要に応じペーパータオルを使用して栓を閉める。

6. 生の狩猟動物肉、食肉、家禽肉および卵を個人で香港に持ち込んでも良いか?  これらを輸入する個人は、「輸入される狩猟肉、食肉、家禽肉、および卵の規則(第132 AK章):”Imported Game, Meat, Poultry and Eggs Regulations (Cap 132AK)”」に従い、原産国の当局が発行した衛生証明書を提出するか、事前に香港食品・環境衛生局(FEHD: Food and Environmental Hygiene Department)から書面による許可を得なければならない。
 違反した場合、5万香港ドルの罰金および禁錮6カ月の有罪判決を受ける。一般市民は、狩猟動物肉、食肉、家禽肉および卵を違法に香港に持ち込まないよう注意すべきである。



国立医薬品食品衛生研究所 安全情報部