米国食品医薬品局(US FDA)からの新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)関連情報
http://www.fda.gov/


食品安全とコロナウイルス感染症2019(COVID-19)(2020年3月23、20、17日付情報)
Food Safety and the Coronavirus Disease 2019 (COVID-19)
March 23, 20 & 17, 2020
https://www.fda.gov/food/food-safety-during-emergencies/food-safety-and-coronavirus-disease-2019-covid-19

(食品安全情報2020年7号(2020/04/01)収載)


 米国食品医薬品局(US FDA)は、食品業界および消費者向けに、コロナウイルス感染症2019(COVID-19)と食品安全に関する情報提供を行っている。
 詳細情報は、コロナウイルス感染症2019(COVID-19)のメインページ(以下Webページ)参照。
https://www.fda.gov/emergency-preparedness-and-response/mcm-issues/coronavirus-disease-2019-covid-19


以下にQ&Aの一部を紹介する(食品に直接関係するもの以外はQuestionのみ紹介)。

2020年3月23日付追加情報
Q:従業員が互いに近接した位置で作業を行うことが一般的な食品製造/加工施設および食品小売施設内ではどのように社会的距離を保てばよいか?

Q:FDA/米国環境保護庁(EPA)はレジ係および顧客用の手指消毒剤として第4級アンモニウム消毒剤の200ppmでの適応外使用を許可するか?手指用消毒ジェルが入手困難なため、現在小売業界での食品調理区域や食器類などの消毒用としてEPAの承認リストに掲載されている第4級アンモニウム消毒剤を代用品として使用したい。

Q:食品小売施設のレジ係、袋詰め作業者、清掃作業者などの従業員はCOVID-19感染防止のためマスクを着用すべきであるか?

Q:食品の製造施設/食品の加工施設/農場の従業員がCOVID-19検査で陽性結果となった場合、その他の従業員を保護しつつ事業を継続するためにすべきことは何か?


2020年3月17日付情報
Q:米国の食品供給は安全であるか?
A:現時点では、食品や食品包装がCOVID-19への感染に関連していることを示すエビデンスは存在しない。
 汚染食品を介して頻繁に患者を発生させるノロウイルスやA型肝炎のような食品由来胃腸疾患(GI)の原因ウイルスとは異なり、COVID-19を引き起こすSARS-CoV-2は呼吸器疾患の原因ウイルスである。食品を介した曝露がSARS-CoV-2の伝播経路になるという報告はない。
 SARS-CoV-2の伝播は主にヒト−ヒト間で起こると考えられている。この中には、ヒト−ヒト間の約6フィート(約1.8m)以内の濃厚な接触や、感染者が咳やくしゃみをしたときに排出される呼吸飛沫などの経路が含まれる。この飛沫は、近接した位置にいる人の口や鼻の内部に入り込む可能性、および肺に吸い込まれる可能性がある。SARS-CoV-2が生残する表面や物体に触れた後に口・鼻・目などを触ることでCOVID-19に感染する可能性もあるが、これはSARS-CoV-2の主要な伝播経路という報告はない。しかし、食品由来疾患の予防のために、食品安全の基本となる「清潔を保つ」、「食品を分ける」、「加熱する」、「冷やす」の4つの手順を遵守することが常に極めて重要である。


Q:食料品は今後不足するか?

Q:食品事業者は事業運営に関する情報をどこで入手すべきか?


Q:食品を製造・加工する施設/農場の従業員がCOVID-19検査で陽性結果となった場合、当該施設で製造される食品の安全性を確保するためにはどのような対策を講じる必要があるか?
A:コロナウイルスは一般に呼吸飛沫を介してヒトからヒトへ伝播すると考えられている。現時点では、COVID-19の原因ウイルスが食品を介して伝播することを裏付けるエビデンスは存在しない。
 汚染食品を介して頻繁に患者を発生させるノロウイルスやA型肝炎のような食品由来胃腸疾患(GI)の原因ウイルスとは異なり、COVID-19を引き起こすSARS-CoV-2は呼吸器疾患の原因ウイルスである。食品を介した曝露がSARS-CoV-2の伝播経路になるという報告はない。


Q:従業員が就業中にSARS-CoV-2を排出していた可能性がある場合、その期間に当該施設で製造された食品を回収する必要はあるか?
A:現時点では食品や食品包装に関連したCOVID-19への感染を裏付けるエビデンスは存在しないため、COVID-19を理由とした食品の回収や市場からの撤去の必要性は想定されない。
 また、施設内では、ウイルスや細菌の種類に関係なく、体調不良の従業員に関連すると考えられるリスクはすべて管理されなければならない。その一例として、施設内は清潔な状態が保たれ、設備および食品接触面の良好な衛生状態が維持されなければならないことが挙げられる。


Q:食品加工施設/農場の従業員がCOVID-19検査で陽性結果となった場合、当該施設を閉鎖すべきであるか?また、閉鎖する場合、期間はどれくらいか?


Q:COVID-19に関連して、小売施設でのサラダバーなどのセルフサービス式での食品提供についてはどのように対処すべきか?
A:レストランおよび食品小売施設については、州および地域レベルで規制されている。州・地方自治体および部族居留地の規制当局は、FDAが発行した食品規定(Food Code)にもとづいて各々の食品安全規則を作成・更新している。繰り返しになるが、食品や食品包装に関連したCOVID-19への感染を裏付けるエビデンスは現時点では存在しない。
 SARS-CoV-2が生残する表面や物体に触れた後に口・鼻・目などを触ることでCOVID-19に感染する可能性もあるが、これはSARS-CoV-2の主な伝播経路とは考えられていない。コロナウイルスはほとんどが呼吸飛沫を介してヒトからヒトへ伝播する。しかし、食品由来疾患の予防のために、食品安全の基本となる「清潔を保つ」、「食品を分ける」、「加熱する」、「冷やす」の4つの手順を遵守することが常に極めて重要である。
 表面との接触を介したCOVID-19感染の予防に役立つ追加の対策として、すべての食品接触面および器具の頻繁な洗浄・消毒が推奨される。また食品業従事者は、頻繁な手指の洗浄、および食品取り扱い前後に手袋の交換を実践しなければならない。調理台や調味料容器の頻繁な洗浄・消毒もこれに含まれる。消費者は取り分け用の器具を使用した後にも手指を洗浄すべきである。
 COVID-19の拡散が長期間続いている地域では、州および地方自治体の公衆衛生当局が、集団での食事について中止勧告または禁止する社会的距離措置を実施している。FDAは、これらの措置が解除されるまではセルフサービス式での食品提供やサラダバーも中止するよう勧告している。
 汚染食品を介して頻繁に患者を発生させるノロウイルスやA型肝炎のような食品由来胃腸疾患(GI)の原因ウイルスとは異なり、COVID-19の原因ウイルスであるSARS-CoV-2は呼吸器疾患の原因ウイルスである。食品を介した曝露がSARS-CoV-2の伝播経路になるという報告はない。


Q:COVID-19の拡散防止対策として設備・用具を清潔にするためにどのような手順が必要か?

Q:COVID-19検査で陽性結果となった従業員に接触した可能性がある別の従業員に対し、14日間の自己隔離措置を求める必要があるか?


Q:COVID-19のパンデミックが発生している間も食品由来疾患アウトブレイクへの対応を引き続き可能にするためにFDA(米国疾病予防管理センター(US CDC)、州当局を含む)はどのような対策を講じているか?
A:汚染食品を介して頻繁に患者を発生させるノロウイルスやA型肝炎のような食品由来胃腸疾患(GI)の原因ウイルスとは異なり、COVID-19を引き起こすSARS-CoV-2は、胃腸疾患ではなく呼吸器疾患の原因ウイルスである。食品を介した曝露がSARS-CoV-2の伝播経路になるという報告はない。
 食品由来病原体については、CDC、FDAおよび米国農務省食品安全検査局(USDA FSIS)は、州・地方自治体当局と協力して食品由来疾患およびアウトブレイクの調査を継続している。FDAのアウトブレイク対応評価統合ネットワーク(CORE:Coordinated Outbreak Response and Evaluation)は、FDAが管轄するヒト用食品(栄養補助食品、化粧品を含む)に関連して複数の患者が発生したインシデントについて、アウトブレイク対応とともに、サーベイランスおよび対策実施後の活動を管理している。本コロナウイルス感染アウトブレイクの発生中も、食品由来疾患のインシデントへの対応の準備、調整および実行のためにCOREの常勤職員が業務を継続する予定である。



国立医薬品食品衛生研究所 安全情報部