厚生科学研究費補助金

フェノール類の食品汚染実態及び摂取量に関する調査研究

各種食品のビスフェノールA汚染実態調査−

分担研究者 今中雅章 岡山県環境保健センター衛生化学科長

 

研究要旨

食品中のビスフェノールA(BPA)のGC/MSを用いた高感度分析法を作成缶詰・野菜・果物等を含む各種食品中のBPA汚染実態調査を実施した。 試料にサロゲートとしてBPA-d16を添加後、アセトンまたはメタノール(MeOH)で抽出した。アセトン抽出の場合は、アセトン留去後抽出液を塩基性下でヘキサン洗浄、酸性下で50%エーテル/ヘキサン抽出した。MeOH抽出の場合には、抽出液をMeOH量が約50mlになるまで濃縮・ヘキサン洗浄後、50%エーテル/ヘキサンで抽出した。 両者とも抽出液をPSAカラム及び/またはC18カラムでクリーンアップし、ヘプタフルオロ酪酸誘導体化後、GC/MS(SIM)法で定量した。 本法の確立により、各種の食品に対し1ng/g以下のBPAの検出が可能となった。 ツナ缶詰、野菜果実缶詰、コンビーフ缶詰、レトルトパック食品、肉類、乳製品、水産物、精白米、野菜、果実等の計222検体についてBPAを調査した。 缶詰ではツナ6検体から9〜192ng/g・野菜・果実15検体から痕跡量〜75ng/g、コンビーフ6検体から17〜602ng/g、鶏肉212ng/g、豆類12〜26ng/gのBPAが検出された。また調査数は少ないが、近年消費量が増加しているフリーズドライスープ(豚汁)とレトルトパック(トマトペースト)からも、各々llng/g、86ng/gのBPAが検出された。 乳製品ではバター2検体から9〜llng/g検出されたが、チーズ、牛乳からは検出されなかった。 生鮮食品では魚類12検体から痕跡量〜31ng/g、牡蛎2検体から痕跡量〜lng/g、肉類ではレバー4検体から痕跡量〜3ng/g、豚肉2検体から痕跡量〜25ng/gのBPAが検出された。野菜・果実・チョコレートは一部の検体から痕跡量検出されたにすぎなかった。 コンビニ弁当では、6検体中3検体から痕跡量〜2ng/g検出された。

 

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