分担研究報告書

フタル酸エステル類の食品汚染実態及び摂取量に関する調査研究

分担研究者 外海泰秀 国立医薬品食品衛生研究所大阪支所食品試験部長

 

研究要旨

内分泌かく乱作用が疑われているフタル酸エステル類について,日本国内で喫食さ れている食品の汚染実態及び摂取量を把握するための研究を行った。フタル酸エステ ル類11種及びアジピン酸ジ(2−エチルヘキシル)(DEHA)を調査対象とし,実験操作 過程で生じるバックグラウンドの低減化を図った。試料をアセトニトリルで抽出し, アセトニトリル/ヘキサン分配及びフロリジルとPSAを組み合わせたカラムで精製 し,GC/MSで測定する分析法を開発した.この方法を用いて3機関で同一の試料を 分析した結果,標準偏差の幅は平均値の10%未満または検出下限値(LOD)以下で,分 析値はよく一致した.実態調査として市販弁当・定食及び病院給食を分析した結果・ いずれにおいてもDEHPの検出量が最も高かっ。.弁当10検体からは一食中の摂取 量として平均1768μgのDEHPが検出され,3検体がEUにおける体重50sのヒト の耐容一日摂取量(TDI)1850μgを上回っていた。定食10検体中DEHPは一食当たり 平均40μgでありTDIを越えたものは無かった。3地域の3病院において提供され た給食各1週間分(計63検体)においては,一日当たり(3食分合計)の摂取量は DEHPが平均519μgであり,2日分がTDIを上回っていた。DEHAは平均86μg, DiNPは62μg,BBPは4.7μgの一日摂取量であった・DEHP以外のフタル酸エステ ル類の摂取量は,弁当・定食・病院給食のいずれの検体においてもTDIの2%未満で あった。

 

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