厚生科学研究費補助金(生活安全総合研究事業) 総括研究報告書 

フタル酸エステル類及びフェノール類の食品汚染実態及び摂取量に関する調査研究 

主任研究者 外海泰秀 国立医薬品食品衛生研究所大阪支所 食品試験部長


研究要旨

 内分泌かく乱作用を有すると疑われているフタル酸エステル類及びビスフェノールA等フェノール類の日本人における食物経由摂取量の推定を目的として、高感度分析法を作成し、食品汚染実態調査を行った。 フタル酸エステル類は広汎に存在する汚染物質であり、実験環境にも存在することから、試験液調製操作中の混入をいかに低減するかを当初の課題として分析法の開発に取り組んだ。その結果、最も汚染度の高いものについてもおおむね5〜20ng/gの検出下限を達成することに成功した。この分析法を用いて食品の汚染実態調査及び病院給食苔試料とした摂取量調査を行った結果、いわゆるコンビニ弁当及びレトルトパウチ食品からEUの耐容1日摂取量(TDI:37μg/s体重/day)を超えるフタル酸ジ(2−エチルヘキシル)(DEHP)が検出された。また、大阪、愛知及び新潟の3府県内各1ヶ所の病院で提供された給食、各1週間分(21食)中のフタル酸エステル類濃度を測定した。その結果、1病院の2日分がDEHP摂取量においてEUのTDIを越えていた。 フェノール系化合物のうちビスフェノールAは他のアルキルフェノール類との同時分析が困難であったため、別個にビスフェノールAのGC/MSによる高感度微量分析法を開発するとともに、ブランク値及び検出限界値の低減化と分析値再現性の向上を検討した。本法を用いて加工食品から生鮮食品にわたる各種食品、計222検体についてビスフェノールA含有量を調査した。缶詰食品についてはその内容を問わず、調査した全ての検体から痕跡量〜602ng/gを検出した。その他の加工食品では、レトルトパウチ食品1検体から86ng/g、フリーズドライスープ1検体からllng/g検出した。生鮮食品のビスフェノールA汚染濃度は低かった。

 

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