平成10年度 厚生科学研究費補助(生活安全総合事業)

分担研究報告書

組換酵母レセプターに感応するプラスチック溶出化合物の同定および定量
〜内分泌撹乱物質検索のためのプラスチック溶出化合物の簡易分析法の開発〜

分担研究者 片瀬 隆雄・水谷 広 (日本大学 生物資源科学部)

研究要旨

  組換え酵母を用いて内分泌撹乱物質を検索したところ、プラスチック製品の食品包装用ラップフィルム、学校給食用手袋、オモチャの一部に明らかなエストロゲン様活性が検出された。そこで、n-ヘプタン抽出液中の化合物をガスクロマトグラフおよびガスクロマトグラフ質量分析計を用いて分析した結果、フタル酸ジエチル、フタル酸ジベンジルブチル、フタル酸ジエチルヘキシルの3種類のフタル酸エステルおよびアジピン酸ジエチルヘキシル、アジピン酸ジn-オクチルなど6種類のアジピン酸エステルが同定された。プラスチック製品のなかで、最も強い活性を示した給食用手袋3点から溶出したn-ヘプタン溶液中に同定された共通の化合物とその平均濃度は、フタル酸ベンジルブチル(BBP)(2500ppm)及びフタル酸ジ2-エチルヘキシル(DEHP)(7500ppm)であった。さらに、この活性を有した手袋2点から、共通にアジピン酸ジ2-エチルヘキシル(DEHA)(2500ppm)が検出された。おもちゃ、テーブルクロスおよびスリッパにもわずかな活性が認められたが、これらのプラスチック製品3点に共通してDEHPが同定され、平均濃度は18000ppmであった。また、同様にわずかな活性を示したラップ3点から、共通してDEHPまたはアジピン酸ジn-オクチル(DnOA)が平均濃度で6900ppm検出された。

戻る

内分泌かく乱物質ホームページに戻る
平成10年度 厚生科学研究報告書一覧のページにもどる