オランダ国立公衆衛生環境研究所(RIVM)からのノロウイルス関連情報
http://www.rivm.nl/


食品中のウイルスの定量的リスクプロファイル
Quantitative risk profile for viruses in foods
2013-05-01
http://www.rivm.nl/bibliotheek/rapporten/330371008.html

http://www.rivm.nl/bibliotheek/rapporten/330371008.pdf(報告書PDF)

(食品安全情報2013年14号(2013/07/10)収載)

 食品中に存在するウイルスはヒトの健康リスクになり得るが、この問題に関する情報は比較的少ない。食品中のウイルスによる健康リスクを目的とした研究として、オランダ国立公衆衛生環境研究所(RIVM)は、現在の知見および欠如している関連情報の両者について文献調査を行った。調査は食品の喫食を介してヒトに伝播する3種類のウイルスを対象とし、調査結果はいわゆるリスクプロファイルとして報告されている。3種類のウイルスとは、貝類中のA型肝炎ウイルス、生鮮果物・野菜中のノロウイルスおよび豚肉中のE型肝炎ウイルスである。この調査はオランダ食品消費者製品安全庁(NVWA)から委託された。

全般的な知見

 全般的な知見として、食品中のウイルス量について信頼度の高い推定値を得ることは今日でも困難であることがわかった。その理由の一つは、食品中のウイルスの検出に現在使用されている方法には相互に大きな違いがあることである。しかし、食品中のウイルス量に関する正確な情報は、健康リスクのより精度の高い推定に必須である。ヒトがウイルスに感染する確率は、製品の汚染率の上昇または個々の製品でのウイルス量の増加に伴って上昇する。本報告書には、ウイルス量の推定に現在使用されている方法の短所が指摘されており、より現実的な推定を可能にするような改善のための推奨事項が示されている。

 一次生産または加工の段階で食品がウイルスに汚染される可能性を増大させる因子についての調査も行われた。カキ、生鮮果物、野菜のように生の傷みやすい製品では、喫食前に加熱されないため、ウイルスは不活化しない。

調査対象としたウイルスについての個別の知見

 生鮮農産物に関しては、灌漑水を介して果物・野菜に直接接触するノロウイルスの量を推定することが重要である。解析が必要な他の重要な汚染経路としては、収穫や加工の際の手または器具からのウイルスの食品への移行が挙げられる。E型肝炎ウイルスについては、豚肉製品汚染の原因となるとさつ時の感染ブタの割合を把握することが重要である。E型肝炎ウイルス汚染がとさつの数カ月前に起こった場合は、ブタはとさつ時までに回復し、その豚肉製品は消費者の健康リスクにはならない可能性が高い。個々の製品中のE型肝炎ウイルスの量を知ることも重要である。貝類では、養殖水域の表層水に存在するウイルスの量と、喫食時までウイルスが貝にどの程度残存するかを把握することが重要である。


国立医薬品食品衛生研究所安全情報部