http://www.cdc.gov/media/releases/2013/p0321_norovirus_children.html
(食品安全情報2013年7号(2013/04/03)収載)
New England Journal of Medicine誌に発表された新しい調査結果によると、急性胃腸炎で医療機関を受診する米国の5歳未満の乳幼児ではノロウイルスが最も高頻度にみられる原因病原体である。米国では2009年および2010年に、ノロウイルス感染による乳幼児の小児科受診が毎年約100万件あり、これに必要な治療費は年間数億ドルに上っている。
米国疾病予防管理センター(US CDC)は、ノロウイルス感染により米国の小児278人に1人が5歳になる前に入院を経験し、14人に1人が救急治療室で、6人に1人が外来で治療を受けると推定している。
2008年10月〜2010年9月に急性胃腸炎で治療を受ける乳幼児の調査を行った。米国内の3地域(郡)に住む5歳未満の乳幼児141,000人以上を対象とし、ノロウイルスの感染を確認するために検査機関で検査を行った。
急性胃腸炎で受診しウイルス検査を受けた1,295人のうち278人(21%)からノロウイルスが、152人(12%)からロタウイルスが検出された。ノロウイルス感染による受診者(278人)の約50%が6〜18カ月齢の乳幼児であった。0〜1歳の乳幼児は、それより年長の幼児に比べノロウイルス感染による急性胃腸炎で入院する可能性が高かった。しかし、ノロウイルス感染による急性胃腸炎で救急治療室または外来で治療を受けた5歳未満の乳幼児の1万人あたりの人数は入院患者数の20〜40倍であった。米国全体では2009年および2010年の各年に、ノロウイルス感染により5歳未満の乳幼児の14,000人が入院、281,000人が救急治療室を受診、627,000人が外来を受診したと推定された。これらによる年間の治療費は推定で2億7,300万ドルに上った。
今回の調査では、ロタウイルス感染による医療機関の受診者数が減少していることが確認された。また本調査の結果は、米国のロタウイルスワクチン接種プログラムの成功と、ノロウイルスの感染予防に特化した対策の有効性を支持している。ノロウイルスワクチンは現在開発中であり、このワクチンはハイリスクグループである乳幼児や高齢者には特に重要であると考えられる。
ノロウイルスは伝染性の強いウイルスである。米国では、毎年2,100万人以上が感染して急性胃腸炎を発症し、約800人が死亡している。乳幼児および高齢者が感染すると重症化しやすい。ノロウイルスは、主に、看護などの際に感染者との接触によって伝播する。また、汚染された食品、水、および器具の表面などを介しても伝播する。最良の感染予防法は、正しい手洗い、食品の安全な取り扱い、適切な衛生管理である。