(食品安全情報2018年23号(2018/11/07)収載)
オランダでは、2017年に食品由来感染・食中毒アウトブレイクが2015年および2016年より多く報告された。アウトブレイク件数および患者数は、2015年が406件および1,850人、2016年が594件および2,731人であったのに対し、2017年は666件および2,995人であった。この増加が、オランダで食品由来アウトブレイクの発生件数が真に増加したことによるものか、あるいはオランダ食品消費者製品安全庁(NVWA)へのアウトブレイクの報告率が上昇したことによるものかについては不明である。
2016年までと同様、2017年もノロウイルスが食品由来アウトブレイクの最も重要な原因病原体で、サルモネラおよびカンピロバクターがこれに続いた。
アウトブレイクのデータはNVWAおよび地域の保健当局から提供される。これらの機関は、さらなる患者およびアウトブレイクの発生を防止するため、食品由来感染・食中毒の登録と調査を行い、それぞれの専門分野で汚染源および病原体の性状の解明に取り組む。NVWAは、感染源の疑いがある食品の供給元およびその販売・製造場所の調査を行う。地域の保健当局は汚染食品に曝露した人に焦点を当て、これらの人を起点に可能性のある感染源を追跡する。
これらの機関が受理したデータは、オランダ国立公衆衛生環境研究所(RIVM)の感染症管理センター(CIb)により統合・分析される。このような統合的アプローチは、オランダでの食品由来アウトブレイクについて、発生要因およびそれらの出現頻度と経年変動の把握を可能にする。しかし、本報告書に記載されている数値は、食品由来アウトブレイクの実際の発生件数および患者数を過小評価している。その理由は、すべての患者が一般診療医(GP)の受診やNVWAへの報告を行うとは限らず、また、食品が感染源であったかどうかが明らかにならないことがあるためである。