オランダ国立公衆衛生環境研究所(RIVM)からのカンピロバクター関連情報
http://www.rivm.nl/


ヤギおよびヒツジの酪農場における人獣共通感染症細菌
Research on pathogens in dairy goat and dairy sheep farms
2018-06-14
http://www.rivm.nl/bibliotheek/rapporten/2018-0059.pdf (報告書PDF、オランダ語)
https://www.rivm.nl/bibliotheek/rapporten/2018-0059.html

(食品安全情報2018年17号(2018/08/15)収載)


 動物はヒトの疾患(人獣共通感染症)の原因となり得る病原体を保有していることがある。2016年、オランダ国立公衆衛生環境研究所(RIVM)およびオランダ食品消費者製品安全庁(NVWA)は、乳用のヤギおよびヒツジがこれらの病原体を保有しているかどうかについて調査した。このような調査は、酪農家、その家族、および従業員についても実施されることがある。人獣共通感染症病原体は通常は下痢症を引き起こすが、より重症の感染症の原因となることもある。

 今回の調査で、ヤギおよびヒツジの酪農場では数種類の病原菌が高頻度に検出されることがわかった。これらの細菌はヤギやヒツジの腸管内に生息し、糞便中に排出される。少量の糞便でも生乳や未殺菌チーズの汚染には十分である。これらの酪農場への訪問者も、動物やその飼育環境との接触により感染する可能性がある。加熱殺菌済みの乳のみの喫飲や、すべての乳の殺菌加工により、感染や乳の汚染を防止することが可能である。酪農場への訪問者は、動物やその飼育環境と接触した後に手指を洗浄することで疾患リスクを低減させることができる。

 特に高頻度に検出された人獣共通感染症病原体は、志賀毒素産生性大腸菌(STEC)およびカンピロバクター属菌であった。STECは調査を実施したほぼすべての酪農場で検出された。カンピロバクターは、ヤギ酪農場の33%、ヒツジ酪農場の95.8%で検出された。酪農家やその家族からのこれらの細菌の検出は非常に少なかった。リステリアの検出頻度は低く、ヤギ酪農場では8.8%、ヒツジ酪農場では16.7%で、酪農家やその家族からは検出されなかった。しかし、ヒトのリステリア感染の最も重要な感染源は未殺菌のソフトチーズであることから、リステリアを本調査の対象に含めることは適切であると言える。

 サルモネラはヤギ酪農場では検出されなかったが、ヒツジ酪農場では12.5%から検出された。サルモネラが検出されたヒツジ酪農場のほとんどで、ヒトに伝播しないタイプのサルモネラのみが検出された。多くの抗生物質に非感受性の基質特異性拡張型βラクタマーゼ(ESBL)産生菌は、ヤギ酪農場の1.7%、ヒツジ酪農場の4.2%から検出された。ESBL産生菌は酪農家やその家族の6.8%からも検出されたが、この検出頻度は一般住民の場合と比較して高くはない。



国立医薬品食品衛生研究所 安全情報部