The European Union summary report on antimicrobial resistance in zoonotic and indicator bacteria from humans, animals and food in 2016
EFSA Journal 2018;16(2):5182
Published: 27 February 2018
http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.2903/j.efsa.2018.5182/epdf （報告書PDF）
https://ecdc.europa.eu/sites/portal/files/documents/AMR-zoonotic-bacteria-humans-animals-food-2016_Rev3.pdf （報告書PDF）
http://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/5182 （EFSAサイト）
https://ecdc.europa.eu/en/publications-data/european-union-summary-report-antimicrobial-resistance-zoonotic-and-indicator-4 （ECDCサイト）
（食品安全情報2018年10号（2018/05/09）収載）
欧州食品安全機関（EFSA）と欧州疾病予防管理センター（ECDC）は、人獣共通感染症細菌および指標細菌の抗菌剤耐性について、欧州連合（EU）加盟28カ国から提出された2016年のデータの解析を共同で行った。ヒト・動物・食品由来の人獣共通感染性サルモネラおよびカンピロバクター、また、動物・食品由来の指標大腸菌およびメチシリン耐性黄色ブドウ球菌（MRSA）について抗菌剤耐性の解析が行われた。微生物学的耐性の評価には疫学的カットオフ（ECOFF）値が使用されたが、一部の加盟国のヒト由来株については定性的データにECOFF値の使用にほぼ相当する方法を適用することにより耐性の評価が行われた。
解析結果の概要は以下のとおりである。
- ヒト由来サルモネラ分離株では、アンピシリン、スルホンアミドおよびテトラサイクリンへの耐性率が高く、一方、第三世代セファロスポリン系への耐性率は低かった。
- ブロイラー、肥育七面鳥、およびその食肉由来のサルモネラおよび大腸菌分離株では、アンピシリン、（フルオロ）キノロン系、テトラサイクリンおよびスルホンアミドへの高い耐性率が高頻度に認められたが、第三世代セファロスポリン系への耐性は稀であった。
- 家禽由来のサルモネラと大腸菌、およびヒト由来のサルモネラにおいて、基質特異性拡張型βラクタマーゼ（ESBL）／AmpC型βラクタマーゼ産生株の出現率は低かった。
- 今回初めて家禽およびその食肉のESBL／AmpC産生大腸菌による汚染の評価が行われ、汚染率は加盟国間で顕著な差がみられた。
- 加盟2カ国で、カルバペネマーゼ産生性と考えられる大腸菌14株がブロイラーおよびその食肉から検出された。
- 家禽およびその食肉由来のサルモネラと大腸菌、およびヒト由来のサルモネラで、コリスチン耐性が低レベルでみられた。
- ヒト、ブロイラー、およびその食肉由来のカンピロバクターで、シプロフロキサシンおよびテトラサイクリンへの耐性が高レベル〜極めて高レベルでみられたが、エリスロマイシンへの耐性は低レベル〜中レベルであった。
- ヒトおよび動物由来の分離株では極めて重要な抗菌剤への共耐性は総じて稀であったが、一部の血清型のサルモネラにおいては多剤耐性が非常に高レベル〜極めて高レベルで認められた。
- ヒトおよび動物由来の特定の血清型のサルモネラ（特にSalmonella Kentucky）で高レベルのシプロフロキサシン耐性が認められ、さらに一部はESBL産生性でもあった。
（関連記事）
ECDCおよびEFSAの報告書によると、ヒト、動物、食品由来の人獣共通感染症細菌において抗菌剤耐性は依然として高レベルである
Antimicrobial resistance in zoonotic bacteria still high in humans, animals and food, say ECDC and EFSA
27 February 2018
http://www.efsa.europa.eu/en/press/news/180227 （EFSAサイト）
https://ecdc.europa.eu/en/news-events/antimicrobial-resistance-zoonotic-bacteria-still-high-humans-animals-and-food-say-ecdc （ECDCサイト）
国立医薬品食品衛生研究所 安全情報部