米国疾病予防管理センター(US CDC)からのカンピロバクター関連情報
http://www.cdc.gov/


ペット店の子犬との接触に関連して複数州にわたり発生している多剤耐性カンピロバクター感染アウトブレイク(2017年12月13日付更新情報)
Multistate Outbreak of Multidrug-Resistant Campylobacter Infections Linked to Contact with Pet Store Puppies
December 13, 2017
https://www.cdc.gov/campylobacter/outbreaks/puppies-9-17/index.html

(食品安全情報2018年1号(2018/01/05)収載)



○米国疾病予防管理センター(US CDC)、複数州の公衆衛生当局および米国農務省動植物衛生検査局(USDA APHIS)は、複数州にわたり発生している多剤耐性カンピロバクター感染アウトブレイクを調査している。

○本アウトブレイクの患者の臨床検体から分離されたカンピロバクター株は、広く推奨される第一選択の抗生物質に耐性である。これは、本アウトブレイク株による感染症が、カンピロバクター症の治療に通常処方される抗生物質では治療が困難である可能性があることを意味する。

○2017年10月30日付の更新情報以降、11州から新たに患者計30人が報告された。直近の患者の発症日は2017年10月23日である。

○2017年12月12日までに、本アウトブレイクに関連して、検査機関確定患者またはカンピロバクター症に一致する症状を呈した患者が17州から計97人報告されている(図)。

  • 情報が得られた患者91人のうち22人(24%)が入院した。死亡者は報告されていない。
  • 患者の発症日は2016年6月17日〜2017年10月23日である。
図:ペット店の子犬に関連したカンピロバクター症患者(2017年12月12日までに報告された居住州別患者数、n=97)


○疫学調査および検査機関での検査の結果は、ペット店チェーンであるペットランド(Petland)の店舗で販売された子犬との接触が本アウトブレイクの感染源である可能性が高いことを示している。

  • 聞き取り調査に回答した患者89人のうち87人(98%)が、発症の前週に子犬と接触したことを報告した。また、聞き取り調査に回答した88人のうち79人(90%)が、ペットランドの子犬と接触したこと、または、ペットランドの子犬との接触後に発症した人と接触したことを報告した。患者のうち21人がペットランドの従業員である。
  • 全ゲノムシークエンシング(WGS)解析の結果は、患者由来とペットランドの子犬由来のカンピロバクター分離株が遺伝学的に相互に近縁であることを示した。この結果は、患者がペットランドの子犬との接触によって感染したことを裏付けるさらなるエビデンスとなっている。

○抗生物質耐性は、患者の入院、血流感染または治療不成功のリスクの上昇に関連する可能性がある。WGS解析により、本アウトブレイクの患者35人および子犬9匹に由来する分離株の多くで、複数の抗菌剤耐性遺伝子および耐性に関連した遺伝子変異が確認された。この結果は、本アウトブレイクの患者5人と子犬7匹に由来する分離株について、CDCの全米抗菌剤耐性モニタリングシステム(NARMS)の検査機関が標準的な抗生物質感受性試験法により実施した検査の結果と一致している。これら12株は、アジスロマイシン、シプロフロキサシン、クリンダマイシン、エリスロマイシン、ナリジクス酸、テリスロマイシンおよびテトラサイクリンに耐性であった。また、これら12株のうち、10株はゲンタマイシン、2株はフロルフェニコールにも耐性であった。

○子犬や成犬を取り扱う際には以下のような感染予防方法を実践すべきである。

  • 子犬やその糞に接触した後は、必ず石鹸と水ですぐに手指を洗う。
  • 飼い犬の健康維持と疾患予防について獣医師に相談する。


国立医薬品食品衛生研究所 安全情報部