ドイツ連邦リスクアセスメント研究所(BfR)からのカンピロバクター関連情報
http://www.bfr.bund.de/


カンピロバクター:鶏卵を汚染する可能性がある細菌
Campylobacter - the germ on chicken eggs
11.05.2018
http://www.bfr.bund.de/en/press_information/2018/18/campylobacter___the_germ_on_chicken_eggs-204476.html

(食品安全情報2018年14号(2018/07/04)収載)


 卵は日常的に喫食される食品である。実際に、ドイツでは2016年に約200億個の卵が消費され、これはドイツ人1人あたり235個に相当する。したがって、卵から殺虫剤フィプロニルなどの化学物質が最近検出されたことが社会に少なからず衝撃を与えている理由は理解しやすい。しかし、食品由来感染症の原因として最も一般的な細菌性病原体も鶏卵から検出されるということはほとんど知られていない。この病原体とはカンピロバクターのことで、腹痛、発熱、下痢(時として出血を伴う)などの症状を呈する腸炎の原因となる。ドイツ連邦リスクアセスメント研究所(BfR)は、鶏卵のカンピロバクター汚染に関する知見を整理し、感染を予防する方法について助言を行っている(以下のBfRのWebサイトを参照)。

鶏卵の衛生管理 - カンピロバクター感染の予防
Hygiene for chicken eggs - protection from Campylobacter
BfR Opinion, 11 May 2018
http://www.bfr.bund.de/cm/349/hygiene-for-chicken-eggs-protection-from-campylobacter.pdf

 ロベルト・コッホ研究所(RKI)には、カンピロバクターによる腸炎患者が毎年およそ7万人報告されており、報告患者数は今後、若干増加すると予想される。また報告患者に加えて、膨大な数の未報告患者が実際には存在している。原因となるカンピロバクターは通常は鶏の腸管に由来する細菌で、鶏の腸管内に生息するが鶏に被害を及ぼすことはない。カンピロバクターは主に加熱不十分な鶏肉を介してヒトに伝播する。鶏卵を介したカンピロバクター感染のリスクは鶏肉よりはるかに低いと推定されるが、カンピロバクターを含む鶏の糞便が卵殻に付着し、これを介して感染が広まる可能性がある。したがって、食品事業者は、生産および包装工程における衛生対策により、鶏の糞便による鶏卵汚染を低減すべきである。



国立医薬品食品衛生研究所 安全情報部